研究課題/領域番号 |
18K04196
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
山田 学 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40242903)
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研究分担者 |
仲野 聡史 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30847893)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 制御工学 / ドローン / 車輪型ロボット / 飛行ロボット |
研究実績の概要 |
本申請者は、車輪型の保護フレームを付けた車輪型ドローンを2013年に発明し、これまで、壁面や天井などの構造物に接触しながら飛行し、狭い場所でも安定かつ正確に移動できる車輪型ドローンを開発してきた。本研究の目的は、構造物に接触しながら目標値に高精度で追従飛行できる車輪型ドローンの自動制御システムの開発である。 2021年度は、研究課題①~⑥の中で、研究課題⑤の「壁や天井などに接触し安定かつ高精度に飛行できる自動制御系」の実用化に注力した。 2021年度の研究実績は以下の通りである。課題⑤については、2020年度に開発した成果を改良して、壁や天井などに接触した状態で、空中で安定に静止でき、壁面上に指定させた任意の目標軌跡に高精度で追従できる車輪型ドローンの新しい実用的な自動制御系を開発した。具体的な改良点は以下とおりである。2020年度の成果ではオイラー角表現に基づいており、ドローンの壁面上の姿勢によっては、特異点により制御が不安定化するなどの問題点があった。そこで、2021年度では姿勢表現に特殊直交群SO(3) を用いた車輪付きドローンの壁面走行時の新しい軌道追従制御を提案した。まず、位置・姿勢の一般化座標を、SO(3) の直積空間である特殊ユークリッド群SE(3) 上で与えたオイラー・ラグランジュ方程式に基づいて、壁面走行時の拘束条件をSE(3) 上で表現した上で車輪付きドローンのダイナミクスモデルを導出した。つぎに,車輪付きドローンのダイナミクスを入出力線形化した上で、目標軌道に追従する制御法を開発した。その結果、飛行および壁面走行時における特異点を回避でき、任意の目標軌跡に高精度で追従できることをシミュレーションにより確認した。以上のように、本研究は実用化に向けて、計画通り順調に進んでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度の研究計画は、2020年度の研究課題の成果を拡張して、研究課題①~⑥の中で、主に研究課題⑤の「壁や天井などに接触し安定かつ高精度に飛行できる自動制御系」の実用化を行うことであった。 2021年度の研究実績は以下の通りである。課題⑤について、2020年度に開発した成果を改良して、壁や天井などに接触した状態で、空中で安定に静止でき、壁面上に指定させた任意の目標軌跡に高精度で追従できる車輪型ドローンの新しい実用的な自動制御系を開発した。具体的な改良点は以下とおりである。2020年度の成果ではオイラー角表現に基づいており、ドローンの壁面上の姿勢によっては、特異点により制御が不安定化するなどの問題点があった。そこで、2021年度では姿勢表現に特殊直交群SO(3) を用いた車輪付きドローンの壁面走行時の新しい軌道追従制御を提案した。まず、位置・姿勢の一般化座標を、SO(3) の直積空間である特殊ユークリッド群SE(3) 上で与えたオイラー・ラグランジュ方程式に基づいて、壁面走行時の拘束条件をSE(3) 上で表現した上で車輪付きドローンのダイナミクスモデルを導出した。つぎに,車輪付きドローンのダイナミクスを入出力線形化した上で、目標軌道に追従する制御法を開発した。その結果、飛行および壁面走行時における特異点を回避でき、任意の目標軌跡に高精度で追従できることをシミュレーションにより確認した。以上のように本研究は、実用化に向けて計画通り順調に進んでいる。 ただし、2021年では、実機を用いた実験がコロナの影響で十分に実施できなかったため、2022年度では、飛行実験を実施した上で飛行性能を評価する必要がある。 以上のように、実験評価以外、当初の計画通りおおむね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度の研究計画は、研究課題①~⑥の中で、研究課題⑤の「壁や天井などに接触し安定かつ高精度に飛行できる自動制御系の開発と実験」および、研究課題⑥の「風速・風向をオンラインで推定し最適に飛行できる適応制御系の開発と実験」の飛行実験と性能評価に取り組むことである。とくに研究課題⑥では、これまでの研究課題①~⑤の成果を応用し、風速・風向など測定困難な外的環境因子を機体の運動からオンラインで推定し最適に制御する実用的な適応制御システムを開発する。 上記の「現在までの進捗状況」に記載の通り、課題⑤や⑥の成果について、シミュレーションでは研究目標を達成しているが、実機を用いた実験を十分に実施していないため、2022年度では、実験実証と性能評価に注力し、必要ならばモデリングや制御システムの再検討し、実用的な制御システムの研究を進める予定です。
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次年度使用額が生じた理由 |
上記に記載の通り、申請書に記載の研究課題について、シミュレーションでは研究目標を達成したが、コロナによる影響で、実機を用いた実験を十分に実施できていないため、次年度使用額が発生した。2022年度では、実験実証と性能評価に注力するため、実験環境の構築と実験に必要な機材の購入(実験機は本研究室で自作することから、機体製作に必要なカーボン板、プロペラやモータ、フライトコントローラやリチウムポリマーバッテリなどの購入)、および成果発表による学会参加費に使用する予定である。
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