現実に存在するシステムの多くは動的システムであり,その出力は過去の入力の影響も受ける.過去の入力が未来の出力に影響する度合いを評価するためにハンケルノルムが用いられるが,ディジタル機器を用いた制御系をはじめ,入出力関係が周期性をもつシステムに対しては,ハンケルノルムに基づく性能評価に関する基本的な問題が未解決であった.本研究では準ハンケル作用素と準ハンケルノルムという概念を導入してそのようなシステムに対して性能評価を可能とし,これまで考えられてこなかった性能指標を導入し,あるいはその指標に基づく望ましい制御系を設計することにもつながる研究を展開しており,理論的,実用的意義がある.
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