研究課題/領域番号 |
18K04207
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
松田 吉隆 佐賀大学, 理工学部, 助教 (00578429)
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研究分担者 |
後藤 聡 佐賀大学, 理工学部, 教授 (20225650)
杉 剛直 佐賀大学, 海洋エネルギー研究センター, 准教授 (00274580)
池上 康之 佐賀大学, 海洋エネルギー研究センター, 教授 (80232172)
安永 健 佐賀大学, 海洋エネルギー研究センター, 助教 (50758076)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 海洋温度差発電 / 2段ランキンサイクル / 動特性 / 拘束条件 / むだ時間 |
研究実績の概要 |
近年再生可能エネルギーの有効利用促進が求められているが,その有効なエネルギー源のひとつに海洋温度差発電(OTEC)がある.OTECは一般的に熱効率が低いことが大きな課題であるが,本研究は,近年超高効率化を目指して研究が進められている2段(多段)ランキンサイクルについて,その動特性などを解明しつつその制御問題について検討するという観点から,OTEC技術の本質的発展を試みるものである.平成30年度は,OTECプラントの温冷海水・作動流体の複数ある流量を同時に調節して発電量を制御する方法,むだ時間を考慮した動的モデルの構築方法,気液分離器を考慮した動的モデルの構築方法,作動流体ポンプの動特性を考慮した動的モデルの構築方法についてそれぞれ検討した.また,OTECプラントはその発電原理から海洋上や僻地が設置場所として考えられることからその遠隔監視・操作を実現するための研究として,2段ランキンサイクルを用いたOTECプラントの実時間遠隔操作のためのwebアプリケーションの開発やシミュレータの遠隔制御システムの開発も実施した.さらに,OTECプラントとの複合利用のためのプラントとして開発されているスプレーフラッシュ蒸発式海水淡水化プラントについて,確率過程を用いた補助凝縮器モデルに基づく水位制御システム,流量制限を考慮した水位制御のためのアンチワインドアップ補償,真空ポンプを考慮したモデルの構築方法についても開発を進めた.以上の研究成果を,査読付雑誌論文1編,学会発表11件(国際学会3件)によって発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成30年度は,2段ランキンサイクルを用いた海洋温度差発電プラントの,熱力学的非平衡状態(過渡状態)の動特性を捉えたモデルを,超高効率な発電状態を維持するという観点から構築する方法について検討した.検討の過程において新たに見出された問題の解決を図りつつ,新たな動特性を捉えたモデルの構築を進展させることができたことから,おおむね順調に進展していると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度の研究によってむだ時間等の拘束条件をモデルの中でどのように表現するかということについての知見が得られたことから,平成31年度は,実際の制御において必要となる,むだ時間・飽和特性・タンクの容量等の拘束条件がどの程度のものかということについて,発電プラントとしての設計および実際の実験設備での実装の両面から解明する.むだ時間や飽和特性などの拘束条件については,プラントの使用機器の仕様や,必要に応じて実機による特性実験を行ってその特性を把握する.また,制御に必要な制御器設計用計算環境を準備する.動特性や拘束条件を踏まえた制御システムの設計手法としてはどのようなものが適切かについて,数値シミュレーション・実機による実験の両面から明らかにする.それが完了次第,制御システム設計についての検討に着手する.
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