研究課題/領域番号 |
18K04210
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研究機関 | 千葉工業大学 |
研究代表者 |
熱海 武憲 千葉工業大学, 工学部, 教授 (70772052)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | メカトロニクス / ハードディスクドライブ / ロバスト制御 / 外乱推定 / データマイニング |
研究実績の概要 |
2018年度に実施した研究において,以下の成果が得られた. 【可視化されたロバスト機構・制御系統合化設計法】①構造的な不確かさを有する制御対象に対してH∞制御理論により設計されたコントローラを実装した位置決め制御系を対象に,RBode plotを用いた制御系改善手法を考案した.考案手法を用いることで,機構系変動に対する過度な保守性を取り除くことが可能となり,位置決め制御性能が改善できることが明らかとなった.②一般的なメカトロニクス装置として,倒立振子ロボットに対する可視化されたロバスト機構・制御系統合化設計法の検討を行った.その結果,実験データに基づくデータマイニング手法により可視化された制御系設計手法が有効であることを明らかにした.③一般的なメカトロニクス装置として,マルチコプターの飛行制御系の研究を行った.本研究では,マルチコプターに加わる外乱特性について解明した. 【次世代HDDに必要な機構系および制御系の条件】①HDD向け3段アクチュエータ系に対するRBode plotの適用方法について検討を行った.その結果,3つのアクチュエータが持つ非構造的不確かさを1つの非構造的不確かさとしてまとめることで,3段アクチュエータ系に対してもRBode plotを適用可能であることを明らかにした.②ファイルサーバーを用いた振動測定を行い,ファイルサーバー内のHDDに加わる外部振動の特性を明らかにした.その際,ヘリウム密閉型ではない従来のHDDを用いた場合とヘリウム密閉型HDDを用いた場合で振動特性に大きな差があることも明らかにした.また,ファイルサーバーの異常時に作動するブザー音に起因するHDDの振動特性についても明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は5ヵ年計画となっており,2018年度は1年目に相当する.したがって,現時点において全体の研究計画の20%ほどの進捗があれば当初の計画通りであると言える.上記の「研究実績の概要」で述べた初年度の成果: ・既存のロバスト制御系が有する機構系変動に対する過度な保守性を取り除くことが可能な方法を実現した ・一般的なメカトロニクス装置の例として,倒立振子ロボットとマルチコプターを対象とした制御系の評価を実施した ・HDD3段アクチュエータ系に対してRBode plotの適用が可能であることを明らかにした ・ファイルサーバー内のHDDに加わる外部振動の特性を明らかにした は本研究全体の目標研究成果の約20%に相当すると考えられることから,現在までの進捗状況は「おおむね順調に進展している」と判断した.
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今後の研究の推進方策 |
今後も当初の計画通りに進行する予定である.具体的には,以下の2点の達成を目指す. ・多入力1出力系に対するRBode plotの設計方法の確立 ・ファイルサーバー内のHDDに加わる外部振動を補償する3段アクチュエータ制御システムの実現
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた計測器に代わり,「代表者が操作方法を熟知している」かつ「実験評価を行う上で十分な性能を有している」計測器(中古品)を購入することとなったため.次年度使用額が生じた.この次年度使用額はHDDの振動実験に関する物品購入に使用する計画である.
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