今までは相関法を用いた出力誤差モデルに基づく部分空間同定法の漸近特性の解明は未解決であった.しかし,本研究を通してCL-MOESP法の推定値の一致性が示された.これは予測誤差型部分空間同定法がもつ漸近的一致性よりも強い性質であり,CL-MOESP法の持つ優位性の一つである.また,CL-MOESP法の誤差分散解析に関する一定の成果が得られ,将来的にCL-MOESP法から得られる同定モデルの定量的な精度評価法の開発につながり得ると考えられる.最後に,CL-MOESP法が不安定な同定対象にも適用可能であることの理論的保証が得られたため,今後本手法が広く実システムへ適用されることが期待できる.
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