研究課題/領域番号 |
18K04218
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研究機関 | 純真学園大学 |
研究代表者 |
金江 春植 純真学園大学, 医療工学科, 教授 (90274555)
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研究分担者 |
杉井 裕 純真学園大学, 医療工学科, 助教 (50805166)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 人工呼吸 / 呼吸モデル / システム同定 / パラメータ推定 / データの前処理 |
研究実績の概要 |
本課題の研究において、本年度計画に沿って研究を進め、次のように人工呼吸の医療支援に関する知見が得られましたのでまとめいたします。 自律呼吸のない人工呼吸では、呼吸器側のリズムに沿って肺が受動的に膨張・収縮を繰り返すので、元来の患者呼吸系の時間特性は出にくい。しかし、気圧の変化に対する肺体積の時間応答には各々の個人差が存在し、その応答特性と患者の呼吸リズムと関係性があると考えられる。従って、人工呼吸時の時間応答から時間特性を数値的に表現し、それらの数値的特性から呼吸のリズムと関連付け、時間特性を推定するアプローチを提案している。 1)呼吸における時間特性の表現法について。人工呼吸時の気圧変化に対する肺の体積変化は非線形性を持ち、線形システムの時定数のような簡単の数値表現法は無理があり、肺体積の時間応答曲線を区分的に分割し、所要時間特徴量として保存しておく。分割の方法は気圧の大きさによって適切に調整するようにしている。このように非線形性を持つ肺体積の時間応答について時間特性を数値的に記述できるようにする。 2)呼吸の時間特性の推定法の開発。患者の呼吸リズムは人工呼吸の前に呼吸のテストで取得するか、または心肺停止状態のような緊急事態で取得困難な場合は病状が回復後の呼吸テストで取得し、前記1)の時間特徴量と因果関係があるとし、ニューラルネットワークでその関係を表現し、取得したデータセットに基づいて機械学習を行い、ニューラルネットワークの各重みを決定し、呼吸リズムの推定が可能にする。 3)本年度はまず、上記のアルゴリズムを計算機上でシミュレーションができるようにプログラムを開発している。また、現有の設備で人工呼吸の模擬ができるよう実験試作機を作成している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一部シミュレーションや実験装置の試作が若干遅れている部分はあるが、上記研究実績の概要でまとめたように研究に関する新しい知見があり方法論が確立しているので、ほぼ計画通りに進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究成果を踏まえ、今後は次の各部分について研究進展を図る。 1)データの前処理処理;2)呼吸の摂動における各呼吸周期での推定結果の総合方法の開発;3)肺エラスタンのヒステリシル特性を取り入れたモデル化とそのパラメータ推定法の開発;4)呼吸の評価方法の開発;5)換気条件のオンライン調整法の開発;6)シミュレーションの確認*7)実験機作成と実機試験 などの念頭に研究を推進していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
引き続き試験機を制作し実験するために、制御用コンピュータ・インターフェースボード・シミュレーション用ソフトのメンテナス料等が必要である。 また、研究成果を発表し、研究交流や研究の打ち合わせのために学会参加費・国内学出張旅費等が必要であり、データーの整理やシミュレーションプログラミングのため学生アルバイトを雇い、その謝金が必要となる。
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