最終年度の研究実績概要は、これまでの研究成果であるLEDデバイス作成技術を集結して作製したn型ZnOトンネル層を組み込んだAlGaN UV-LEDの評価が中心であり、その電流電圧特性、電流密度電圧特性、そしてその微分抵抗、またUV領域で測定可能とするエレクトロルミネッセンス(EL)装置開発を行い、EL発光スペクトル測定を行った。結果として、電気特性においては、ZnOトンネル層のトンネル抵抗が確認された。光学特性においては、ZnOトンネル層有りと無しのLEDサンプルで同じ波長のUV発光が確認された。また、注入電流を1mAから25mAまで変化させた時のEL特性の比較を行い、高電流領域ではZnOトンネル層のUV光吸収に起因して、その発光強度はZnOトンネル層無しのサンプルが優位であっが、低電流領域においてはZnOトンネル層による正孔注入効果により、その発光強度はZnOトンネル層有りのサンプルが優位であることが確認された。さらに、トンネル接合の理論解析として、p-AlGaN/n-ZnOトンネル接合に関してSchrodinger-Poisson方程式を自己無撞着に解く事でエネルギーバンド構造解析を行い、接合界面で局在する負の分極電荷によるバンドベンディングが正孔注入効率改善に寄与する事を明らかにした。 上記成果はトンネル層を有するUV-LEDが実デバイスとしての有用性を示している。 しかし、研究計画中のレーザーリフトオフによる縦構造UVC-LEDの結晶成長とデバイス作成及び上記結果との結合系であるトンネル接合型pコンタクト層を有する縦型構造UVC-LEDの研究に関しては、共同研究先は海外であったため、コロナによる交流への影響を受け、進捗に至らなかった。またNiO等、その他の酸化物半導体の検討は今後の研究に展開する計画である。
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