研究課題/領域番号 |
18K04233
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
関口 寛人 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00580599)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | Eu / GaN / ナノコラム / 光物性 |
研究実績の概要 |
エネルギー揺らぎの少ない量子準位をもつEuイオンを活用した長い量子情報保持時間をもつ優れた量子メモリの実現に向けて,微細集積化に適するGaN母材の可能性について検討が本研究の目的である。前年度に引き続き,母材中でのEuイオンの量子準位の効率的な活用に向けて,結晶中の量子結晶中に欠陥を含まず歪み緩和効果が発現するナノコラム結晶に着目しつつ,従来のGaN:Eu薄膜結晶の評価に立ち戻り,結晶がもつ量子準位評価を行った。 従来のGaN:Eu薄膜結晶において結晶中における量子準位および光学サイトの種類について明らかにするためPL-PLEマッピング評価を行った。PL評価による発光強度はEu濃度の増加に伴いEu濃度が19乗までは増加したが,それ以上において飽和する傾向を示した。Eu濃度に伴う発光強度の増大は,優れた発光特性を示すことが知られている光学サイト(サイトA)が増加することと一致した。一方で,過剰なEu濃度ではこの優れた光学特性を示すサイトAは増加することなく,Euイオンへのトランスファー効率の低く不活性サイトとなる光学サイト(サイトB等)の増加が観測された。この結果はEu濃度の増大に伴う発光強度変化に一致している。またEu濃度が18乗台と低い場合においてはサイトAのみに起因する発光サイト以外はすべて観測されず,光学サイトが単一化されることが明らかとなった。これは量子情報デバイスの実現に向けて有効な結果であると考えられる。 また選択成長によるナノコラム結晶の成長技術の確立に向けた結晶成長条件の最適化を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
選択成長技術の確立は予定通り進んでいることに加えて,薄膜結晶を用いたPL-PLE評価技術が確立され結晶中に形成される量子準位を明らかにされた。また薄膜結晶においてだが,未だ報告のない光学的単一サイトが形成されることを示した。本結果が得られていることは研究が順調に進められていることを示唆している。
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今後の研究の推進方策 |
今年度はGaN:Eu薄膜において低Eu濃度であれば光学サイトを制御することが可能であることが示された。次年度は,ナノコラム結晶における光学サイトの制御法の確立に向けてナノコラム形状と発光サイトの関係性について探る。
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