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2019 年度 実施状況報告書

有機薄膜太陽電池による室内光エネルギーハーベスティングのための基盤技術創出

研究課題

研究課題/領域番号 18K04241
研究機関兵庫県立大学

研究代表者

多田 和也  兵庫県立大学, 工学研究科, 准教授 (90305681)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード有機薄膜太陽電池 / 導電性高分子 / 無修飾フラーレン / 非ハロゲン系溶媒 / PWM変調 / 室内光エネルギー・ハーベスティング
研究実績の概要

本研究は,研究代表者が見出した非ハロゲン系溶媒である1,2,4-トリメチルベンゼンを用いることで実現されるπ共役ポリマー:無修飾フラーレン複合体を発電層とする有機薄膜太陽電池を中心として,有機太陽電池を室内光エネルギー・ハーベスティング素子として活用する際の基盤技術を構築することを目的としている。
本年度の主要な成果として,①フラーレンの置換基の有無が有機薄膜太陽電池の特性に与える影響について明らかとしたことと,②LED照明の調光に使用される事の多いPWM変調が太陽電池の発電特性に与える影響を明らかとしたこと,がある。
①について,π共役ポリマーをPTB7-Thとして,フラーレンC70の可溶性を増すために化学修飾されたC70-PCBMと無修飾のC70を用いた太陽電池の特性の比較を行った。以前にPTB7:C70複合体を用いた有機薄膜太陽電池がPTB7:C70-PCBM複合体を用いたものに比べて耐熱性がより高いことを見出していた。PTB7-Thを用いた場合にも同様に無修飾のC70を用いたほうが耐熱性が高く,またPTB7を用いた場合に比べて耐熱性がより高いことが分かった。熱処理に伴う複合体薄膜の表面の変化をAFMにより観察したところ,特性が劣化する温度で熱処理したPTB7:C70-PCBM薄膜には,フラーレンの凝集によるものと考えられる凹凸が観察された。
②について,PWM変調をされたLED照明では平均照度に対してピーク照度が10~100倍となるという,自然光はもとより蛍光管などの従来型の照明光源にもない,強い強度変調が行われている。一般に,室内光用途の太陽電池では,照射光強度が高くなると発電効率が低下する。室内光向けa-Si太陽電池のPWM変調下での特性を測定したところ,平均強度が同じ場合,デューティ比が高い変調下では連続光照射に比べて発電効率が顕著に低いことが分かった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

①フラーレンの置換基の有無が有機薄膜太陽電池の特性に与える影響について明らかとし,また②LED照明の調光に使用される事の多い,PWM変調が太陽電池の発電特性に与える影響を明らかとすることができた。これらは有機太陽電池を室内光エネルギー・ハーベスティング素子として活用する際の基盤技術の構築に資する研究結果であり,さらに論文発表を行えたため。

今後の研究の推進方策

本年度見出したPWM変調が太陽電池の発電特性に与える影響については,有機太陽電池を室内光エネルギー・ハーベスティング素子として活用する際に重要な要素であると考えられる。今後は,これについてより深く追求したいと考えている。

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額が生じた理由の最も大きなものは,コロナウィルス蔓延の影響により,予定していた学会への出席がキャンセルとなったことである。来年度は備品を購入するなど,有効に利用する予定である。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] Effect of fullerene substituent on thermal robustness in polymer:fullerene bulk heterojunction solar cells2020

    • 著者名/発表者名
      Tada Kazuya
    • 雑誌名

      Japanese Journal of Applied Physics

      巻: 59 ページ: SDDD03(4 pages)

    • DOI

      10.7567/1347-4065/ab4edd

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Lighting flicker: a blind spot in indoor photovoltaic cell characterization2020

    • 著者名/発表者名
      Tada Kazuya
    • 雑誌名

      Applied Physics Express

      巻: 13 ページ: 024005(4 pages)

    • DOI

      10.35848/1882-0786/ab6fb2

    • 査読あり
  • [雑誌論文] LEDを用いた簡易型分光感度特性測定装置の改良2019

    • 著者名/発表者名
      荒川巧,多田和也
    • 雑誌名

      電気学会論文誌C

      巻: 139 ページ: 1527~1528

    • DOI

      10.1541/ieejeiss.139.1527

    • 査読あり
  • [学会発表] Effect of fullerene substituent for thermal robustness in polymer:fullerene bulk heterojunction solar cells2019

    • 著者名/発表者名
      Kazuya Tada
    • 学会等名
      The International Conference on Molecular Electronics and Bioelectronics (M&BE10)
    • 国際学会
  • [学会発表] Effect of Fullerene Substituent on Low-Light Characteristics of Polymer:Fullerene Bulk Heterojunction Solar Cells2019

    • 著者名/発表者名
      Kazuya Tada
    • 学会等名
      KJF International Conference on Organic Materials for Electronics and Photonics (KJF-ICOMEP 2019)
    • 国際学会
  • [学会発表] 高分子:フラーレンバルクヘテロジャンクション型太陽電池の低照射光強度特性におけるフラーレン置換基の効果2019

    • 著者名/発表者名
      多田和也
    • 学会等名
      第80回応用物理学会秋季学術講演会
  • [学会発表] 有機薄膜太陽電池の室内光エネルギー・ハーベスティング応用に関する研究2019

    • 著者名/発表者名
      多田和也
    • 学会等名
      第321回電気材料技術懇談会
  • [学会発表] LEDを用いた簡易型分光感度特性測定装置の開発2019

    • 著者名/発表者名
      荒川巧,多田和也
    • 学会等名
      第320回電気材料技術懇談会
  • [学会発表] 電気泳動堆積法による導電性高分子:C60複合体薄膜の作製2019

    • 著者名/発表者名
      藤本乃哉,多田和也
    • 学会等名
      令和元年電気関係学会関西連合大会
  • [学会発表] 電気泳動堆積法を用いた導電性高分子製膜に対する印加電圧の効果2019

    • 著者名/発表者名
      難波克好,多田和也
    • 学会等名
      令和元年電気関係学会関西連合大会
  • [学会発表] 改良型簡易型分光感度特性測定装置の無線化と再現性の評価2019

    • 著者名/発表者名
      荒川巧,多田和也
    • 学会等名
      令和元年電気関係学会関西連合大会

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公開日: 2021-01-27  

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