研究課題/領域番号 |
18K04256
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
室山 真徳 東北大学, マイクロシステム融合研究開発センター, 准教授 (80404060)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 集積化触覚センサ / センサモジュール / センサカバー |
研究実績の概要 |
計画のとおり,2019年度は指・足裏などに設置可能な触覚センサモジュールのハードウェア構築を行った。2019年度終了の関連プロジェクトにより,機能が安定したLSIを基にした集積化触覚センサを多数個製造し,安定して動作する標準的な触覚センサモジュールの製造を行った。 本センサ上に,複数の硬さの違う突起をセンサダイアフラム直上に設置し,その周辺を柔らかい素材もしくは硬い素材でカバーした。この構造の目的は2つある。単なる集積化触覚センサのみでは力印加時に物理的な接触がダイアフラムに伝わりにくい。そのため,突起構造により集積化触覚センサに接触したときにダイアフラムに正しく力が伝わるようにすることがひとつの目的である。もうひとつの目的は,様々な形状や重さの物体をセンサは扱う必要があるため,過負荷により破壊される可能性があるのを防ぐことである。柔らかい突起/硬いカバー,硬い突起/柔らかいカバーの組合わせを試した。 詳細な実験の結果,柔らかい樹脂カバーではセンサ特性にヒステリシスが見られ,硬いカバーにより力のダイナミックレンジが小さくなることが見いだされた。一方,硬い突起では小さいヒステリシスで正しく力がセンサダイアフラムに伝わり,柔らかいカバーにより過負荷,特に大きなせん断力に対して強い耐性を持つことが分かった。突起の付与により,ダイアフラムの大きな位置特性(接触場所の依存性)を緩和し,直感に近い接触特性を得られるようになった。 様々な表面状態の異なる物体に対して,その出力特性の一覧(データ)を得ているところである。 また,提案する多重センシングを実現するためにシステム構築を行った。XYZおよび傾き,動作などをプログラミングでき,様々な接触を行うことができるシステムを実現できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ハードウェア部分およびデータ取得部分は完成し,複数の対象物についてデータを取得中である。これらのデータについてデータ分類,整理してオープン化することについては2020年度に予定する。その際,データ自体に特許性がないかきちんと確認した上で公開することを予定している。
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今後の研究の推進方策 |
現在取得中のデータは様々な表面形状の物体を基に取得している。また,開発した集積化触覚センサモジュールを利用している。垂直方向の単軸方向でのデータを取得中であり,また,すべりなどの情報を取得するための水平方向の力情報取得の準備をしている。 並行して開発している多重センシングのための自動動作の触覚センサ移動・データ取得装置を利用することで,多種多様なデータを取得・分類する予定である。2020年度にデータベース作成を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
データの整理・保存・公開のための計算機,データ取得のためのシステム開発への予算を2020年度に移した。最終年度に様々な有意なデータを取得する予定である。
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