研究課題/領域番号 |
18K04256
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研究機関 | 東北工業大学 |
研究代表者 |
室山 真徳 東北工業大学, 工学部, 准教授 (80404060)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 集積化触覚センサ / センサモジュール / センサカバー |
研究実績の概要 |
本年度は,以下の2つに関して成果を得た。 ・前年度作製した集積化触覚センサへの突起ならびに触覚センサのカバーに対して,ヒトのように様々な方向からの力を敏感に感じることができることを実証した。本実証のため,力の印加方向ならびに印加力を精密に制御できるシステムを構築した。多数の実験により,提案手法するカバー構造によって,センサのヒステリシス特性が大幅に改善し,さらに印加力によるダメージ軽減にも大きな影響を与えることが分かった。その後,本カバー構造を付与した触覚センサモジュールに対して,すべりの検出ならびに物体の識別が可能かどうかを実験した。すべりに対して,物質の特性(硬さ,表面の滑り具合)が異なるものを複数用意し,最初は強めに把持し,徐々に把持力を落としていったときに,センサ出力がどう変化するのかを細かく調査した。その結果,把持対象物の滑っている状態ならびに落下した状態を正確に取得できることが分かった。さらに,滑り始める前に力の変化が出る場合があることが分かった。本結果を用いることで,ヒトが感じているように,そろそろ落ちそうだという現象を本システムによって取得できる可能性がある。それにより,落とさず,滑らせず,把持対象物を安全かつ高速に移動・処理できる可能性があることが示された。また,上記の現象は把持対象物の表面形状等に依存して異なる出力が出ており,把持対象物のテクスチャ識別に利用できる可能性も示すことができた。 ・前年度に作製した,センサ付きのロボット指に対して様々な動作を行うことができるシステムに対して,ヒトと同じように撫でる動作を行わせた。表面状態(テクスチャ)が異なる複数の本に対して,同じ動作をさせた場合,その出力がテクスチャによって異なることが見いだされた。視覚情報では判別が難しい表面状態について,提案システムを用いて識別できる方法が構築可能である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
一部の研究に関しては順調に進んでいる。ただし,昨今の環境の変化への対応に大幅な時間が取られ,また,資材等の入手が困難になったため,一部遅れがでている部分がある。具体的には,リアルタイムに動作条件を変えて対象物を把握する方法,ならびにデータベースの構築とオープン化に関して遅れが出ている。
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今後の研究の推進方策 |
システムとしてはほぼ完成している。残りは,システムを活用して,多くのデータを取得し,成果を発表するとともに,データベースを構築し,オープン化することである。昨今の環境の変化により,当初予定より研究期間を1年延長して対応することとした。見通しは立っている。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により,研究進捗に遅れが出た。そのため研究期間を1年延長し,研究を進めるとともに成果発表を行う予定である。そのための予算繰越を行う。
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