研究課題/領域番号 |
18K04265
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研究機関 | 豊橋技術科学大学 |
研究代表者 |
野田 俊彦 豊橋技術科学大学, エレクトロニクス先端融合研究所, 准教授 (20464159)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 体内埋め込み機器 / 気密封止 / 透明パッケージ |
研究実績の概要 |
体内埋め込み型の医療機器は,種々の疾患と共存して高い生活の質(QOL)を保つうえで,今後益々重要になると考えられる。体内埋め込み型医療機器では高い信頼性と耐久性を担保するためのパッケージング技術が重要であるが,例えば超小型の埋め込み型医療機器を従来技術の延長で実現するのは困難であり,パッケージング技術のブレイクスルーが必要である。本研究では,1 mm程度の超小型かつ気密封止可能なパッケージを開発し,低侵襲で体内に埋め込み可能で,かつ高い耐久性を実現する技術プラットフォームを確立する事を目的とする。さらにパッケージを透明化することにより,パッケージ内部部品の光入出力も可能にする事を目指す。 本研究で提案する技術プラットフォームを実現するにあたり,取り組む開発課題は ①透明ガラス基板の実現 ②無機材料による気密封止 であり,さらに挑戦的な開発課題として ③めっき包埋型実装 に取り組む。初年度は ①透明ガラス基板の実現 について,試作検討を行うとともに,②無機材料による気密封止 に向けた材料選定と要素技術開発を行った。①透明ガラス基板の実現 については,ガラス材料と貫通ビア材を熱膨張係数の差異に着目して選定するとともに,最小ビアピッチについて検討して試作を行った。試作結果から,微小パッケージ製作時の設計制約条件を明らかにした。②無機材料による気密封止 については,金サブミクロン粒子ペーストの選定を行い,硬化条件の検討を行なうとともに,パターニング技術について検討し,本研究に適用可能な手法を開発した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画通りにガラス基板の試作検討を推進することができ,要求仕様を満足するガラス材とビア材の組み合わせを見出した。基板厚についてはまだ薄板化の試験を行っていないが,過去の研究開発実績から問題なく遂行可能であると予想される。無機材料による封止についても,想定される寸法でのパターニングを可能とする手法を確率したため,今後上記ガラス基板と組み合わせて利用可能となる。以上のように,当初計画した通りに研究開発を遂行した。
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今後の研究の推進方策 |
200um以下にガラス基板の薄板化する事を検討する。過去の実績からは150um以下の薄板化の可能性もあり,機械的強度も勘案しながら薄板化の限界点を見極める。これと並行して,実際にCMOSチップを実装するテストが可能となるよう,実チップのパッドレイアウトにビアレイアウトを合わせた基板を設計施策する。 また挑戦的課題であるめっき包埋について,厚膜めっき技術の検討をしてめっき液を選定する。まずは平面パターンでめっき試験をおこない,基本的なめっき条件を最適化する。
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次年度使用額が生じた理由 |
ガラス基板の試作が順調に進み,当初見込んだ試作回数よりも少ない試作で初年度の目標を達成したため,試作費として計上していた金額に余裕が生まれた。一方で,次年度に挑戦的な課題として取り組む予定のめっきについて事前情報収集をおこなったところ,貴金属価格の変動により,計画当初よりもめっき液が高額となる事が分かった。そこで,試作費の一部を次年度のめっき実験に関する予算として充当することとした。
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