体内埋め込み型の医療機器は,種々の疾患と共存して高い生活の質(QOL)を保つうえで,今後益々重要になると考えられる。体内埋め込み型医療機器では高い信頼性と耐久性を担保するためのパッケージング技術が重要であるが,例えば超小型の埋め込み型医療機器を従来技術の延長で実現するのは困難であり,パッケージング技術のブレイクスルーが必要である。本研究では,1 mm程度の超小型かつ気密封止可能なパッケージを開発し,低侵襲で体内に埋め込み可能で,かつ高い耐久性を実現する技術プラットフォームを確立する事を目的とする。さらにパッケージを透明化することにより,パッケージ内部部品の光入出力も可能にする事を目指す。 本研究で提案する技術プラットフォームを実現するにあたり,取り組む開発課題は ①透明ガラス基板の実現 ②無機材料による気密封止 であり,さらに挑戦的な開発課題として ③めっき包埋型実装 に取り組む。 昨年度までの研究で ①透明ガラス基板の実現 の目処がつき,この基板の薄型化を検討するとともに, ②無機材料による気密封止 も併用する実装工程の検討も進めた。また挑戦的課題の ③めっき包埋型実装 については,厚膜形成が可能な条件を見出した。 昨年度まで研究進捗を受け本年度は,提案コンセプトを実証するためのプロトタイプの試作を進めた。製作工程の工夫により,生体埋め込み可能な神経電気刺激デバイスを完成させ,生理食塩水中に浸漬した状態で動作することを確認した。摘出した生体組織に埋植した状態での電気刺激動作も確認できたことから,実験動物を用いた検証も実施した。神経電気刺激による神経応答が確認され,試作デバイスの機能実証に成功した。
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