研究課題/領域番号 |
18K04267
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研究機関 | 芝浦工業大学 |
研究代表者 |
田中 愼一 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (00556243)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 整流回路 / エネルギーハーベスティング / 環境発電 / ダイオード / 広帯域 |
研究実績の概要 |
前年度に引き続き,直列共振インダクタを装架した整流器の高性能化に取り組んだ。前年度は異なる共振周波数を有するダイオードを複数組み合わせる手法により,国内地上デジタルテレビ放送の電波帯(470-700MHz)をカバーする高感度整流器を実現することに成功した。このとき-20dBm(10uW)の入力に対して20%以上のRF-DC変換効率が得られる帯域は約330MHzであった。 しかし,ダイオードを複数用いたことで,本来周波数がずれて共振しないダイオードにも微弱な電流が流れ,それが損失を招くため,帯域は広がったものの,単一共振のときに同じ-20dBmの入力で得られた効率38%と比べるとピーク効率は22%にとどまるという課題があった。 本年度は,複数ダイオードを用いる手法を改め,ダイオードの数を1個もしくは2個に減らし,外部回路を用いて複共振を発生させることで広帯域化を図る方法を検討した。その検討を進める中で,ダイオードのパッケージ寄生容量(Cp)に顕著な周波数依存性があり,Cpの周波数依存性を設計で考慮しなければシミュレーションと実験を合わせることが困難であることが判明した。そこで狙う帯域内の多数周波数にてダイオードの共振特性を測定し,Cpの周波数依存性を数式フィッティングした。その数式を用いて設計を行なった結果,ダイオード1個と2個の場合につき,ピーク効率と帯域(>20%)として,各々33%/150MHzと29%/250MHzという結果が得られた。 また,提案している高感度整流器のもう一つの課題として,負荷の出力電圧が不足するという点であることから,倍電圧型の整流回路を直列共振コイルを導入する基礎的な検討を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19の感染拡大により,研究補助の大学院生が大学に来れなくなる日がトータルで予定の半分以下にとどまってしまった。
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今後の研究の推進方策 |
高感度整流器の広帯域化については一定の進捗が見られたが,改善の余地があると判断した。一番の改善点はパッケージ寄生容量Cpの周波数依存性のモデル化である。本年度は数式フィッティングという手法を用いたが,本来ならばパッケージ内に分布する回路網としてモデル化すべきであるため,そこから着手する予定である。 倍電圧回路については,十分な倍電圧効果が得られておらず,今後はその原因究明とその対策のための回路構成案を提案する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の感染拡大のため,研究活動が大幅に制限された。研究自体も制限されて実験費用の執行ができなかったほか,予定していた学会がオンライン開催になったため,旅費予算の執行ができなかった。
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