昨年までの実験で、酸化グラフェンにレーザーを照射し還元する事により伝導領域を形成する方法を用いて、レーザーの照射強度などを変化させれば、メモリ機能を有する抵抗としての基本特性を得られることがわかっている。今年度は条件一定の元、多数の素子測定が可能な評価方法を用いて電気的評価を行い、メモリー機能を得るためには完全還元と酸化状態の中間領域のレーザー強度が必要であることが定量的に示せた。素子として用いるためには、安定的なメモリー動作を得るための条件を求める必要がある。そこで、酸化グラフェンのレーザー照射による変化を、材料物性評価(フーリエ変換赤外分光光度計による分析、ラマン分光による分析、SEM観察)と電気的評価を合わせ遷移過程を調査した。分析の途中ではあるが、材料物性的に、還元されていない部分が残っていることが明らかになった。また、電気的評価においても、一部酸化領域を伝導するパスを設けた電気的評価法ではメモリー動作が変化することが分かった。これらの結果を論文としてまとめている。 また、単体素子の電気的特性評価に加えて、メモリー機能を有する抵抗に加え、キャパシタ、インダクター等の機能も考えた素子応用に取り組んでいるが、その特徴をまとめ指針を作り論文としてまとめている。
|