研究課題/領域番号 |
18K04277
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐藤 昭 東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (70510410)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | プラズモン / テラヘルツ波検出 / HEMT |
研究実績の概要 |
本年度は、プラズモニックTHzディテクタへの二次元周期回折構造の導入による二次元流体的性質の理解とその高感度化・高機能化への応用のための研究基盤を構築するとともに、デバイス試作・評価を進めた。以下に具体的な内容を示す:
1. 長方形型の金属二次元周期回折構造(金属ナノアンテナ)を有するプラズモニックTHzディテクタの試作を行ない、電子ビームリソグラフィーによるデバイス作製法を確立した。ナノアンテナサイズおよび間隔の寸法誤差は20 nm程度に抑えられることが分かった。 2. 試作したディテクタを用いて直線偏波THz波(0.8 THz)に対する検出測定を行ない、入射THz波の偏波方向がチャネル長方向とチャネル幅方向に一致するとき、出力光電圧が極大となるような偏波特性を示すことを実験的に明らかにした。これは従来の一次元回折構造を有するディテクタが示す、チャネル長方向にのみ極大が現れる偏波特性とは異なっており、チャネル幅方向に励起されたプラズモンがナノアンテナを介してチャネル長方向プラズモンを励起したことを示唆している。また、異なるナノアンテナサイズ・間隔を有するディテクタでは異なる偏波特性が得られることを確認し、サイズ・間隔による偏波特性の制御可能性を示した。 3. 二次元流体方程式と三次元マクスウェル方程式を連成させ、二次元フーリエ変換・逆変換に基づくシミュレータの構築を進めた。行列要素の計算に時間がかかることが判明したため、スーパーコンピュータ上で並列計算されるプログラムを作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
試作・評価に関しては、長方形型の二次元周期回折構造を有するプラズモニックTHzディテクタの二次元流体的性質によるTHz偏波特性の変化を明らかにしており、おおむね計画通りに進展している。シミュレータについても構築はほぼ完了しており、次年度から本格的に解析を進める。
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今後の研究の推進方策 |
計画通り、本年度で構築した研究基盤を基に、プラズモニックTHzディテクタへの二次元周期回折構造の導入による二次元流体的性質とその高感度化・高機能化への応用を、シミュレーションと実験の両面から追及していく。特に、二次元周期回折構造の形状による偏波特性の制御可能性と、二次元流体としての新たな非線形性による感度向上効果を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額は、プラズモニックTHzディテクタ試作の際に必要なプロセスガスの購入を次年度に延期することによって生じたものであり、次年度に使用する予定である。
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