研究課題
本研究では,ZnSe系有機-無機ハイブリッド型APDにより紫外APDのもつ感度および暗電流などの課題を打破して,紫外線領域で初めて実用的な集積型APDを実現することを目的とする.光検出器の性能で最も重要なものは,高い感度(外部量子効率)および低い暗電流であり,この両立により高い光検出能D*が実現される.本研究は,無機層としてZnSSeを,有機層としてPEDOT:PSSを用いたZnSe系有機-無機ハイブリッド型APDにおいて,低暗電流化・安定動作化,および集積化を目指し,実用に供しうる紫外線領域の全固体高感度集積型光検出器を実現しようとするものである.本研究では,高密度集積化APDアレイの実現を目的とする.そのために,均一な素子形状および電極形成が求められる.窓層形成後の電極について,従来のAgペーストを用いた手作業によるボンディングの替わりに,金属薄膜電極を形成することで,電極の均一化を図った.さらに,金属薄膜電極へAgスクリーン印刷により配線を行ってアレイ化した。まず,APD基板上にフォトリソグラフィでSU-8絶縁膜を形成し,EB蒸着でAu/Ti薄膜電極を形成した.これにより,窓層表面に直接ボンディングしない均一な電極が形成され,電極形成後の素子でAPD動作が確認された.さらにAu/Ti薄膜電極に対してスクリーン印刷によりAgペースト配線を施すことにより,ボンディングを行わずにAPDアレイの配線を行った。以上の改良により,暗電流不良が原因である故障率が低減され歩留まり率が80%以上に向上した。また,増倍率100倍以上の歩留り率も向上した。
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