研究課題
基盤研究(C)
本研究では、超伝導回路技術に有効となる超伝導位相シフト技術を発展させるため、超伝導スピントロニクス素子である磁性ジョセフソンπ-接合を用いた任意位相差素子の実現を目指して素子特性の検討を行った。さらに、本素子を超伝導回路へ導入したときの効果について調査するとともに、導入時の位相極性制御が重要であることを明らかにした。また、素子小型化に有効な大きな磁場侵入長を持つNbTiNを用いて新たな接合技術を開発した。
超伝導エレクトロニクス
超伝導位相シフト技術は、超低消費電力性を特長とする超伝導集積回路や量子コンピュータに使われる超伝導量子回路において、非常に重要な技術となりうる。本研究で検討した素子は、従来のジョセフソンπ-接合単体では位相シフト量がπとなるのに対して、π/2程度のものからπ程度のものまで種々の位相シフト量を実現できる。本成果は、この素子の実現可能性や回路への適用可能性を示すものであり、超伝導位相シフト技術の発展につながることから、その学術的意義は大きい。