研究課題/領域番号 |
18K04293
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研究機関 | 仙台高等専門学校 |
研究代表者 |
宮城 光信 仙台高等専門学校, その他, 名誉教授 (90006263)
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研究分担者 |
岩井 克全 仙台高等専門学校, 総合工学科, 准教授 (10361130)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 中空ファイバ / 赤外レーザ光 / 先端機能デバイス / レーザ治療 |
研究実績の概要 |
2019年度は、細径銀中空ステンレスファイバの内面研磨装置の製作と評価を行った。 市販の内径0.3 mmステンレスチューブは細径のため、内面研磨は不可とされている。そこで、研磨剤を送液することで、細径ステンレスチューブの内面を研磨することが可能かどうか試みた。2018年度の成果で、研磨剤を送液することで、内径0.3 mm細径ステンレスチューブの内面を研磨可能であることが分かった。しかしながら、手動での研磨であったため、約7時間程度の研磨時間が必要であった。そのため、作業効率の改善が求められる。そこで、2019年度は内径0.3 mm細径ステンレスチューブの内面研磨の自動化を図った。まずは、内径0.3 mm、長さ25 cmのステンレスチューブ に、ナイロン糸 (太さ約250 μm)を通し、 研磨剤を注入しながら、ステッピングモータを用いて、ナイロン糸を動かすことで内面研磨を行った。粒子径3 μmの研磨剤を用いて12時間研磨した後、更に液体コンパウンド (粒子径1 μm)を用いて12時間研磨を行った。その後、銀鏡反応により銀膜形成を行った。細径銀中空ステンレスファイバ先端素子 (内径0.3 mm、長さ20 cm)の可視波長損失特性 (FWHM10.6°のガウスビームで励振)を測定した。粒子径3 μmの研磨剤を用いて研磨したステンレスチューブは、波長650 nmにおいて、伝送損失12.6 dBとなり、更に粒子径1 μmの研磨剤で研磨すると、伝送損失は9.7 dBに低下した。銀中空ステンレスファイバ先端素子は、波長650 nmにおいて、8.4 dBとなり、研磨前のステンレスチューブと比較して大幅に低損失化することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
内径0.3 mmステンレスチューブの伝送損失を低減するために、ステンレスチューブの内面研磨に注目し、まずは手動研磨で研磨の可能性を明らかにし、その後、研磨装置の製作を行い、研磨の自動化に成功した。内径0.3 mm、長さ20 cmの細径ステンレスチューブの良好な内面研磨を安定して行うことができるようになった。今後は、高反射膜の銀膜と誘電体膜の成膜を行い、赤外光伝送用細径ステンレスファイバの製作を図る。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は、赤外複合光伝送用細径中空ステンレスファイバの設計と製作を行う。人体組織に強く吸収され、効率のよい切開が可能なEr:YAGレーザ光と軟組織の止血効果を有するCO2レーザ光を同時伝送可能な高強度中空ファイバの製作を行う。高反射用光学膜として環状オレフィンポリマー(COP)を用い、膜厚を数十nmオーダーで精密に制御し、最適膜厚の成膜を行う。 (1)光学膜コーティング技術の開発 Er:YAGレーザ光、CO2レーザ光、並びに可視パイロット光の同時伝送に最適な光学膜厚の設計と最適膜厚の一様成膜技術を確立する。 (2)赤外レーザ複合光伝送用細径中空ステンレスファイバの評価 Er:YAGレーザ光、CO2レーザ光ならびに可視パイロット光の伝送特性、曲げ損失特性、耐久試験を行い、実用化の基礎資料を得る。
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