研究課題/領域番号 |
18K04300
|
研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
河村 隆 信州大学, 学術研究院工学系, 准教授 (50324231)
|
研究分担者 |
梅崎 健夫 信州大学, 学術研究院工学系, 教授 (50193933)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 地盤工学 / 土系舗装 / 積雪寒冷地 / X線CT / 凍結融解 / 細孔径分布 / 弾性波速度 / 圧縮強度 |
研究実績の概要 |
①~⑤に示した研究目的のうち, ③凍害劣化に影響する細孔径分布の同定:過去3年間の結果を踏まえて,凍害による破壊は強度の低い砕石以外の部分で生じることに着目し,砕石を添加せずに細粒分含有率(FC)を調整した土系舗装供試体に対して,水銀ポロシメータ(外注)により,細孔径分布の測定を行った.その結果を踏まえて次年度に定量評価することとした. ④凍害劣化と材料特性の関係:③と同様に砕石を添加せずにFCを調整した土系舗装供試体に対して,繰返し凍結融解試験を実施した.凍害劣化に影響を及ぼす供試体の初期状態における内部構造や強度特性を把握するために,追加試験として弾性波速度測定試験および一軸圧縮試験を実施した.得られた主な知見は以下のとおりである.(1)弾性波速度Vp,Vsは,いずれもFCが小さいほど大きくなり,FC-Vp,Vs関係はそれぞれ1本の直線として評価できる.FC=7%でVp=2800m/s,Vs=1700m/s程度であり,いずれも,FC=32%の約1.1倍,FC=46%の約1.2倍である.(2)圧縮強度fcは,弾性波速度とは傾向が異なり,FC=32%の場合が最も高く,17MPa程度であり,それぞれ,FC=4.6%の約1.1倍,FC=7%の約1.2倍である.(3)fc-Vp関係は,FC条件ごとにそれぞれ1本の曲線として評価できる.この結果はコンクリートのfc-Vpの関係と同様である.(4)繰返し凍結融解試験において,FCが大きいほど短いサイクルで顕著なクラックが生じる.砕石を含む場合と含まない場合におけるクラックが生じるサイクル数nは,それぞれ,FC=46%ではn=3,2,FC=32%ではn=10,3であり,砕石を含まない方が短い.一方,細粒分含有率が最も少ないFC=7%では,砕石の有無によらず,10サイクルにおいても内部にクラックは生じない.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナウイルス感染症対策の影響により,当初の予定通り研究を進めることができなかったため,研究期間を延長した.①~⑤に示した研究目的のうち, ③凍害劣化に影響する細孔径分布の同定:過去3年間の結果を踏まえて,凍害による破壊は強度の低い砕石以外の部分で生じることに着目し,砕石を添加せずにFCを調整した土系舗装供試体に対して,水銀ポロシメータ(外注)により,細孔径分布の測定を行った.その結果を踏まえて次年度に定量評価することとした. ④凍害劣化と材料特性の関係:③と同様に砕石を添加せずにFCを調整した土系舗装供試体に対して,繰返し凍結融解試験を実施した.凍害劣化に影響を及ぼす供試体の初期状態における内部構造や強度特性を把握するために,追加試験として弾性波速度測定試験および一軸圧縮試験を実施した.
|
今後の研究の推進方策 |
①表面(凍結面)から内部への凍結速度の定量評価,②表面から内部への凍害劣化進行の定量評価:①については,初期状態における内部構造や強度の結果を踏まえて,試験条件を精査してさらに実験を実施する. ③凍害劣化と材料特性の関係:細粒分含有率の異なる土系舗装供試体に対して,追加試験として圧裂試験を実施し,クラックの発生に大きく影響する引張り強度特性について検討する.その結果と令和3年度に実施した細粒分含有率の異なる土系舗装供試体に対する弾性波速度測定試験および一軸圧縮試験の結果,令和1~3年度に実施した凍結融解試験((a)供試体の全周面からの凍結融解,(b)供試体の下面からの凍結融解)の試験結果を比較することにより,土系舗装の強度変形特性と凍結中の内部ひずみの増加およびクラックの進展との関連について検討する. ④凍害劣化に影響する細孔径分布の同定:令和3年度に,細粒分含有率の異なる土系舗装に対して,凍結前の初期状態における細孔径分布の測定を外注により実施した.試験結果を詳細に分析し,凍害劣化が生じる条件と生じない条件について検討する.細孔径分布および全空隙体積の違いに着目し,定量評価する. ⑤凍害劣化現象およびその機構:①~③のクラックの進展と内部ひずみの定量化および土系舗装の強度変形特性に関する検討結果と④の細孔径分布に関する検討結果を関連づけることにより,⑤について検討する.
|
次年度使用額が生じた理由 |
(次年度使用額が生じた理由) コロナウイルス感染症対策のために,当初の予定通り研究を進めることができなかったため,研究期間を延長し,次年度に少額の使用額が生じた. (使用計画) 次年度使用額(前年度の残金)は,消耗品費として使用する計画である.
|