最終年度に実施した研究の成果 ③凍害劣化に影響する細孔径分布の同定:前年度に実施したポロシメータの測定結果を整理し,以下の知見を得た.細粒分含有率(FC)が異なっても細孔全容積は0.18~0.19cm3/gとほぼ同じであるが,凍害劣化の影響を大きく受けるFCが多い場合は,0.01~0.5μm程度の細孔直径の空隙が多い. ④凍害劣化と材料特性の関係:凍結に伴うクラックの発生は引張強度に大きく依存すると考え,土舗装供試体の初期状態において圧裂引張試験を実施した.さらに,引張強度に関連する一軸圧縮試験と弾性波速度測定も実施した.その結果,平均粒径D50とS波速度Vsを用いた一軸圧縮強さquの予測式を導出した.予測式の精度は高く,粒度分布と弾性波速度測定によって,quおよび引張強度を予測することが可能であることを示した.ただし,本研究の条件においては,凍害劣化と圧縮・引張強度の間に相関は認められなかった. 研究期間全体を通じて実施した研究の成果 ①表面(凍結面)から内部への凍結速度の定量評価,②表面から内部への凍害劣化進行の定量評価:現有するX線CTスキャナの精度の限界のため,表面から内部への凍害劣化進行の定量評価には至らなかった.しかし,凍結時において冷却面に近い部分から水平クラックが発生し,水平クラックの発生領域が徐々に内部に進行することを視覚的に確認した. ③凍害劣化に影響する細孔径分布の同定,④凍害劣化と材料特性の関係,⑤凍害劣化の微視的メカニズムの解明:凍害劣化をほとんど生じない場合には細孔直径0.5~数μm程度の空隙が多く,凍害劣化の影響が大きい場合には0.01~0.5μm程度の小さな空隙の割合が高いことを示した.一方,本研究の条件においては,凍害劣化と強度の間に相関は認められなかった.このことから,土系舗装に凍害劣化には,材料の強度よりも透水性に依存することが示唆される.
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