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2019 年度 実施状況報告書

高密度画像計測データの構造解析モデルへの直接的変換ー鋼構造への粒子法の適用

研究課題

研究課題/領域番号 18K04317
研究機関北見工業大学

研究代表者

宮森 保紀  北見工業大学, 工学部, 准教授 (00363383)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード点群モデル / FEMモデル変換 / 線形静的解析
研究実績の概要

本研究は、デジタルカメラで撮影した画像から、鋼構造部材の板厚変化も検出できる程度の高密度点群モデルを構築し、さらに構造解析可能なFEMモデルに変換することで、既存構造物の保有性能を定量的に把握する手法を開発することを目的としている。
令和元年度は、まず、屋外で撮影する場合の点群モデルの精度を確保するため、撮影手法と点群モデル構築手法について検討を行った。まず、小型の型鋼を供試体として、屋内外で撮影を行うとともに、座標位置を決定するマーカーの有無やサイズ、貼り付け位置について詳細な検討を行った。この検討結果をもとに、実験場に設置された長さ6mの橋桁全体を対象に撮影実験を行った。3272枚の写真から構築した点群モデルの各部の寸法誤差は2%以内で、特に補剛材の板厚は実測値9.52mmに対して9.66mmでモデル化でき、高精度な点群モデルを実構造物で構築することが可能となった。
また、FEMモデルについては点群データからソリッドモデルを構築するための手法についてさらに検討を行った。前年度は3次元格子から3次元デローニー分割を行ったが、要素形状がいびつになったり、偽の要素が生成される欠点があった。そこで、部材の軸方向で断面を設定し、断面ごとに2次元デローニー分割を行い、断面間で近傍の節点を接続することで3次元要素を生成する方法に変更した。この方法を実験室内に設置した長さ2mの鋼梁に適用して、梁の切削前後で撮影とモデル化を行った。その結果、切削による応力状態の変化を把握可能な精度で、FEMモデルを画像から作成することができた。
令和2年度は、地方自治体が管理する建設経緯が不明で特殊な構造を持つ既設の実橋梁において、本手法を適用して撮影画像から点群モデルを構築し、FEMモデルへの変換を行う。また、画像撮影手法については、橋梁点検専用のドローンを用いた検討を行う。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

まず、点群モデルの精度については当初計画で想定した精度を達成できた。また、構造解析モデルの構築については、当初計画した粒子法からFEMに変更したが、課題点として当初から想定された構造内部のモデル化について、簡便かつ有効な方法が開発でき、実験でその結果を検証できた。このため、上記の区分とした。

今後の研究の推進方策

モデル化する対象をより複雑な構造物に変更するとともに、このような複雑な構造物や表面状態が粗い場合でも、モデル化の精度を維持する方法を検討する。実構造物への応用として、地方自治体が管理する建設経緯が不明で特殊な構造を持つ既設の実橋梁において、本手法を適用して撮影画像から点群モデルを構築し、FEMモデルへの変換を行う。また、画像撮影手法については、これまでは人間がデジタルカメラを手動で操作したが、実用化に向けた自動化のために橋梁点検専用のドローンを用いた検討を行う。

次年度使用額が生じた理由

物品費(消耗品)の価格が予定より安価だったことによる。次年度の実験における消耗品費の一部として使用する予定。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] 端横桁および床版に損傷を生じた小規模鋼橋の支点部の耐荷性能に関する解析的検討2020

    • 著者名/発表者名
      岩渕 直、宮森 保紀、大島 俊之、三上 修一、齊藤 剛彦
    • 雑誌名

      構造工学論文集 A

      巻: 66A ページ: 48~58

    • DOI

      https://doi.org/10.11532/structcivil.66A.48

    • 査読あり
  • [雑誌論文] AUTOMATED FE MODELING FROM 3D POINT CLOUD MODEL OF A DAMAGED STEEL STRUCTURAL MEMBER2019

    • 著者名/発表者名
      SUZUKI Sanae、MIYAMORI Yasunori、SAITO Takehiko、YAMAZAKI Tomoyuki、DAMBIIBALJIR Munkhjargal、MIKAMI Shuichi
    • 雑誌名

      Journal of Japan Society of Civil Engineers, Ser. F3 (Civil Engineering Informatics)

      巻: 75 ページ: I_141~I_149

    • DOI

      doi.org/10.2208/jscejcei.75.2_I_141

    • 査読あり
  • [学会発表] 撮影画像を用いた鋼構造物の3次元点群モデル構築手法に関する一検討2020

    • 著者名/発表者名
      ムンフジャルガル ダンビーバルジル
    • 学会等名
      土木学会北海道支部 令和元年度 年次技術研究発表会
  • [学会発表] 鋼構造部材の点群モデルから変換したFEMモデルの精度に関する一検討2020

    • 著者名/発表者名
      宮森 保紀
    • 学会等名
      土木学会北海道支部 令和元年度 年次技術研究発表会
  • [学会発表] 主桁の損傷寸法が隣接主桁間の荷重伝達に与える影響に関する解析的検討2020

    • 著者名/発表者名
      岩渕 直
    • 学会等名
      土木学会北海道支部 令和元年度 年次技術研究発表会
  • [学会発表] 端横桁等の損傷が支点部の耐荷性能に与える影響に関する解析的検討2019

    • 著者名/発表者名
      岩渕 直
    • 学会等名
      土木学会第74回年次学術講演会
  • [学会発表] 3 次元点群モデルのFEM データへの変換手法に関する一検討2019

    • 著者名/発表者名
      鈴木 紗苗
    • 学会等名
      土木学会第74回年次学術講演会
  • [学会発表] 鋼構造部材の3次元点群モデル構築とFEMデータへの自動変換に関する検討2019

    • 著者名/発表者名
      鈴木紗苗
    • 学会等名
      第44回土木情報学シンポジウム
  • [学会発表] ANALYTICAL INVESTIGATION ON BEARING CAPACITY OF STEEL GIRDER BRIDGE AFFECTED BY CORROSION DAMAGE AT THE END CROSS BEAM2019

    • 著者名/発表者名
      Sunao Iwabuchi
    • 学会等名
      12th Pacific Structural Steel Conference
    • 国際学会

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公開日: 2021-01-27  

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