研究課題
港湾構造物の桟橋は杭で上部工を支える構造であり,背後の土圧等の影響により大地震作用時には必ず海側への大きな残留変形が生じる.設計時には桟橋と地盤を一体的にモデル化した2次元有限要素法による有効応力解析手法で評価することが一般的であるが,3次元の構造を2次元でモデル化するために,杭間の地盤のすり抜けを十分には考慮できないなど,実構造物との間に乖離がある.特に現在の設計法は直径1m程度の鋼管杭基礎桟橋を対象に構築されていることから,直径6m程度の高剛性基礎桟橋に対して現行設計法はそのまま適用できない可能性が高い.本研究では高剛性基礎を有する桟橋の耐震設計法を開発することを目的に,室内実験によって基礎底面幅を変化させた桟橋模型の耐震性能の違いを検討した.土槽の地盤上に2 本の鋼鉄製の模型杭によって支えられた桟橋模型を設置し,底版とは独立した土槽枠をメガトルクモータで水平載荷することにより,土槽内の模型地盤に水平変位を与えた.実験結果として,基礎底面幅を拡幅した桟橋は耐震性能が非常に高く,基礎底面幅を拡幅することで,同じ載荷重が作用した際の水平・鉛直変位がともに大きく減少することが示された.現在の設計法では,基礎幅を拡幅すると地盤反力係数が減少するため,基礎幅の増加に見合った鉛直地盤反力の増加は見込めない.従って,現在の設計法における地盤反力係数算定式は基礎幅依存性を過大評価しており,改善すべきことが示された.このほか,解析的検討として,弾性応力解を用いた検討により,地盤反力係数の基礎幅依存性は水平反力と鉛直反力で大きく異なり,鉛直反力については基礎幅依存性が低いことを示した.さらに,2次元有限要素解析を行って,根入れ式基礎の鉛直地盤反力係数算定式を提案した.
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Engineering, Technology & Applied Science Research
巻: 10 ページ: 5713~5718
10.48084/etasr.3590
巻: 10 ページ: 6253~6258
10.48084/etasr.3668