研究課題/領域番号 |
18K04325
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
玉井 宏樹 九州大学, 工学研究院, 助教 (20509632)
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研究分担者 |
櫨原 弘貴 福岡大学, 工学部, 助教 (70580182)
宗本 理 愛知工業大学, 工学部, 講師 (70737709)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 鉄筋腐食 / コンクリート / かぶりコンクリートの剥落 / 動的荷重 |
研究実績の概要 |
今年度は,まず,鉄筋腐食程度とかぶり部剥落の関係性を把握し,内部損傷情報との比較分析に用いる非破壊検査値を収集する目的で鉄筋腐食を有する劣化した鉄筋コンクリート部材を複数製作し,動的荷重を付加する載荷実験を実施した。劣化部材としては,かぶりと鉄筋径の比や主鉄筋間隔が異なる扁平上RC梁を複数製作し,電食による促進劣化によって鉄筋の腐食程度の異なる劣化供試体を製作した。全供試体に対して,目視により表面ひび割れ測定するとともに,最終的に鉄筋をはつり出し,実腐食率や腐食の位置的ばらつきを測定した。非破壊検査法としては,打音法,4プローブ法を適用した。かぶり部の剥落を評価するために,重錘を処女載荷速度0.5m/sから0.1m/sずつ漸増させる繰り返し衝撃載荷方法を採用し,剥落に至る回数や裏面の加速度応答や打音を計測した。その結果,鉄筋本数が5本のケースでは,平均腐食率約7%で位置的にも平均的に腐食しているケースでは,剥落は生じなかった。一方,腐食の位置的なばらつきが大きく,局所的に20%を越えるケースでは,載荷回数2回で剥落が生じた。実は,このケースでは電食のみで部分的に剥落が生じていたことも確認している。以上を踏まえると,やはり,腐食率が大きいほど,剥落の可能性は高くなり,腐食率10%を超えると動的振動下で剥落し,腐食率20%を超えると動的振動を付与しない場合でも剥落が生じることが確認できた。また,腐食程度が同じような場所でも,コンクリートに浮きが生じている部分での載荷回数に伴う加速度と最大振幅比の増加率は非常に大きくなることが明らかとなった。次に,解析による検討として,異方性損傷理論に基づくひび割れモデルを導入し,劣化供試体の表面ひび割れや内部ひび割れを再現可能なモデルの構築を行った。ただし,妥当性確認は次年度実施する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験については,劣化供試体の製作やその供試体に対する動的載荷実験など予定通りに進んでいるといえる。ただし,劣化供試体の内部ひび割れの評価については次年度実施する予定であり,「おおむね順調」とした。解析についても,モデルは構築できており,おおむね順調である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は研究計画通りに進めることで,本研究課題を推進できると考える。 ただし,劣化供試体の内部ひび割れ評価に関しては,追加実験が必要と考えているため,当初の研究計画に追加実験を加えることで対応する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度予定していた劣化供試体の切断加工を次年度実施することになったため,それに関する費用も次年度に使用することとした。
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