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2019 年度 実施状況報告書

人工知能技術を援用した道路ネットワーク構造物群の維持管理技術の開発

研究課題

研究課題/領域番号 18K04330
研究機関東京都市大学

研究代表者

丸山 收  東京都市大学, 工学部, 教授 (50209699)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード機械学習 / 劣化予測 / 維持管理 / 確率微分方程式 / 確率場情報更新
研究実績の概要

これまでに,1)現在,整備されているトンネルおよび橋梁の点検データに加えてデータの取集・分析を行った.トンネル覆工コンクリートおよび橋梁点検データに関しては,新規に点検が行われたデータをデータベースに追加した.2)収集したデータは異なる劣化区分により評価されているものであるので,構造物ごとに統一した評価基準にキャリブレーションする必要があるために,同一尺度に変換するための理論開発を行った. さらに,3)劣化進行の不確定性を考慮した確率論に基づくモデルの構築を行った.本研究で用いる劣化予測モデルは,すでに開発された複合Poisson過程を駆動雑音とする確率微分方程式に定式化してモデル化するものであり,点検データに基づいて予測式の精度を検証した.4)本研究で対象とする大規模データ解析に対応するために,機械学習理論を援用する理論開発を行っている.具体的は,確率論手法に基づいたベイズ情報更新理論と機械学習理論の特長を生かして,カーネル関数による機械学習効率の向上を期待できる手法の開発を行った.
2019年度は,鉄道ネットワークを対象として,データを取得できた路線に対して確率微分方程式をもとに近未来の状態予測および管理値を超過する確率を算出することを行っている.対象とするネットワーク群に対して機械学習による分析を試みている.また,劣化予測に基づいて投資効果を判断するための研究に着手している.
2019年度に,機械学習によるデータ分析に関する論文を国際会議で発表した.また投資効果に関しては,国内会議論文として発表した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

1)点検データ整備:これまでに整備されているトンネルおよび橋梁の点検データに加えてデータの取集・分析を行った.収集したデータは異なる劣化区分により評価されているものであるので,構造物ごとに統一した評価基準にキャリブレーションする必要がある.この点に関しては,カーネル関数を用いて,点検データのレーティングが異なる場合にも,共通に評価できる確率分布を得る手法の開発を行った.
2)構造物の劣化予測手法の開発:本研究で用いる劣化予測モデルは,複合Poisson過程を駆動雑音とする確率微分方程式に定式化して,Wiener過程を駆動雑音として用いることによる解過程の増減挙動を回避している.実点検データと確率微分方程式によるサンプル実現値のヒストグラムを比較することで予測精度の検証を行った.提案手法による結果は,実際の点検データ分布と非常に良い対応を示している結果が得られ,精度の良い予測が行えることが分かった.
前述したトンネルの点検データは覆工コンクリート版の劣化のみに着目していたが,橋梁の場合には桁,床板,支承,橋脚および付帯施設など数多くの項目に対する点検が行われている.これら各要素の劣化モデルと橋梁全体の健全度を評価する手法を機械学習理論を用いて行っている.
3)実構造物への適用:実際の鉄道ネットワークにおけるトンネルを対象として,開発した劣化予測手法を適用して,将来予測および管理値を超過する確率を評価することを行った.また,管理値超過確率を基に投資効果を検討するための基礎理論を検討している.

今後の研究の推進方策

実際には各種構造物が存在して,トンネル,橋梁,道路などの複数の構造物で構成されるネットワーク構造を形成している.リンク上に異なる劣化進行状態にある道路,橋梁・トンネルが存在しているので,維持管理戦略もシステムとして扱う必要がある.
今後はネットワーク理論の最小費用流問題のアルゴリズムにより道路ネットワークの重要度・機能性の拘束条件を表現をして,毎年の点検データの蓄積から時々刻々ネットワーク上に存在する構造物の状態を入力として,予防保全型の予算配分を行うルールを人工知能技術で行う.

次年度使用額が生じた理由

地理情報システムが予定額より安価であったこと.データ取得のための費用が必要なくなったことによる.地理情報システム関連のソフトウエア購入と学会誌への投稿料として使用する.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] リスク最適制御の数値解法に対する重点サンプリング法の適用2019

    • 著者名/発表者名
      兼清泰明,東平蔵,檀寛成,須藤敦史,丸山收,佐藤京
    • 雑誌名

      The Ninth Japan Conference on Structural Safety and Reliability

      巻: Vol.9 ページ: 15-22

    • 査読あり
  • [学会発表] Kernal Regression Estimator for Damage States of Tunnel Lining Concrete2019

    • 著者名/発表者名
      Osamu Maruyama
    • 学会等名
      The 13th International Conference on Applications of Statistics and Probability in Civil Engineering (ICASP13)
    • 国際学会

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公開日: 2021-01-27  

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