研究課題/領域番号 |
18K04332
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研究機関 | 関東学院大学 |
研究代表者 |
北原 武嗣 関東学院大学, 理工学部, 教授 (00331992)
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研究分担者 |
梶田 幸秀 九州大学, 工学研究院, 准教授 (10403940)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 複数回連続強震 / 鋼製橋脚 / 耐力劣化 / 橋台背面アプローチ / 段差量 / 液状化 |
研究実績の概要 |
研究代表者は,複数回連続強震による鋼製橋脚の地震時挙動の解明をターゲットとして,まずは熊本地震を参考に,複数回連続強震を模した正負交番繰り返し載荷パターンの検討を行った。数種の載荷パターンを用いた鋼製橋脚の繰り返し耐荷性状を解析的に検討し,載荷パターンや鋼製橋脚の座屈パラメータが最大耐力履歴後の繰り返し耐力劣化に与える影響を明らかにした。 また研究分担者と協力し,1回の地震動入力に対し,深層混合処理による地盤改良の効果について検討を行い,橋台背面アプローチ部の段差量に関しては地盤改良の効果を確認したが,深層混合処理を行った地盤が強固となり,杭に大きな反力を伝えるため杭に発生する曲げモーメントについては,改良処理を行った付近では,増大する結果を得た。 さらに,複数回地震動への対応として,単純に,2016年熊本地震における前震(4月14日)の地震動と本震(4月16日)の地震動を準備し,前震の地震動を入力後,液状化層で発生した過剰間隙水圧が排水により定常状態になったのを確認した後に,本震の地震動を入力する有効応力解析を実施した。 本解析で対象とした橋梁では,前震のみを入力した際の橋台背面アプローチ部に発生する段差量(前震単独),本震のみを入力した際の橋台背面アプローチ部に発生する段差量(本震単独),前震に続き,定常状態になったのちに本震を入力した際の段差量(複数回連続)を比較すると,前震単独と本震単独の単純和よりも複数回連続の方が段差量は小さくなることを明らかにした。これは,前震により液状化が発生したため,本震入力時には地盤が密になったためと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
簡単にではあるが,複数回連続強震を模した正負交番載荷の載荷パターンを検討することができ,鋼製橋脚の繰り返し耐荷性状の基礎的検討が行えた。 また橋台背面アプローチ部の検討においては,排水を考慮した有効応力解析の実施に力を入れ,深層混合処理工法や軽量盛土による荷重低減工法などについて解析は行える状況となった。複数回地震動については,まずは単純に2つの地震動を連続して入力した解析を行い,単体入力時との違いについての考察を行うことができたため。
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者と分担者間で十分な連携を図りながら,複数回地震動をどのように設定するのかをより詳しく検討していき,複数回の地震動による背面アプローチ部の段差量の進展に与える,地盤物性のばらつきや対策工法の影響を明らかにしていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度の研究成果を平成31年度に国際会議にて発表する際に,当初平成31年度に予定していた旅費に平成30年度の残額を合わせて使用するため。
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