研究課題/領域番号 |
18K04333
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
葛 漢彬 名城大学, 理工学部, 教授 (90262873)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 延性破壊 / 高応力三軸度 / 低応力三軸度 / 低サイクル疲労 |
研究実績の概要 |
本年度は,まず,低応力三軸度下における鋼材の延性破壊メカニズムを明らかにするために,せん断応力と引張応力の組み合わせによる複合応力状態下での破壊が生じる試験片を考案し,実験的および解析的検討を行うことで,新たな延性破壊条件(N-VGモデル)を構築し,その妥当性を示した.その結果,既往の延性破壊条件(VGモデル)を用いた場合,低応力三軸度範囲の破壊挙動および荷重-変位関係を精度良く評価できないことを確認した.新しい延性破壊条件(N-VGモデル)を用いた解析では,比較的良い精度の解析結果が得られた. 次に,繰り返し軸力と曲げを受ける鋼材の延性破壊挙動に関する実験データの蓄積と提案した延性破壊モデルの適用性の範囲拡大を目的とし,新たに繰り返し軸力と曲げを同時に受ける鋼材試験体を考案し製作した.そして,実験的および解析的検討を行い,実験結果と解析結果を比較することで,延性破壊モデルの適用性を検証した.その結果,新たな荷重条件下である繰り返し軸力と曲げを同時に受ける鋼材の延性き裂発生から破断までの挙動に関する実験データを蓄積することができた.また,本解析手法の妥当性,また延性破壊モデルの新たな荷重条件下における適用性を確認することができた. さらに,実際の構造物,特に橋脚においては補剛断面がほとんどと考えられ,実用的な照査法を確立するには,補剛断面に対する検討をより詳しく行う必要がある.そこで本研究では,鋼製補剛箱形断面橋脚を対象に,ひずみ集中補正係数について再検討し,beam 解析を用いた照査法の適用範囲の明確化と拡大をはかる.まず,補剛箱形断面に対してbeam 解析およびshell 解析を実施し,幅厚比パラメータ,細長比パラメータ,板厚がひずみ集中補正係数に及ぼす影響を検討した.さらに,補剛箱形断面に適用可能なひずみ集中補正係数の一般式の提案を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した「研究目的」、「研究実施計画」の通り、実験と解析を行い、その成果を国内外の学術誌に公開している。
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今後の研究の推進方策 |
交付申請書に記載した「研究目的」、「研究実施計画」の通り、実験と解析の両面から継続的に検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
試験体の一部は鋼材の入手に時間がかかったため、2020年4月末の納品になったからである.
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