令和2年度までの研究によって,ベンダーエレメントの振動特性を多自由度系としてモデル化する必要があることが明らかとなった。令和3年度は,ベンダーエレメントが片持ち板状に固定されていることから,片持ち板の振動理論の解析解を利用して,多自由度系のモード解析によってモデル化 をおこなうことを目指した。その足がかりとして,セルフモニタリングベンダーエレメントの振動をレーザー変位計で測定した実験結果をモード解析によって級数近似したところ,おおむねよく近似できることがわかった。その成果は応用力学シンポジウムおよび応用力学論文集で発表済みである。 その後,通常のベンダーエレメントについても同様の実験を実施した。その結果,セルフモニタリングの場合とほぼ等しい振動特性が得られ,両者の振動特性はほぼ等しいことを確かめた。 その振動特性は,複数の固有振動数を持つ多自由度系の振動であり,50kHz以下において4つの固有振動数を持っていた。それぞれのモードは,1次モードが約5kHzで長さ方向,2次モードが約10kHzでねじり,3次モードが約25kHzで2次の長さ方向,4次モードが約27kHzで幅方向の曲げ振動であった。そして,このようなベンダーエレメントのモード形状はLeissaによって導かれた非減衰系における片持ち板のモード形状に酷似していることがわかった。このことから,ベンダーエレメントのモード形状をLeissaによる解析解で置き換えることでモデル化を行った。その結果,いくつかのモーダルパラメータを適切に設定することで,モデルは実際のベンダーエレメントの振動を極めてよく表現しうることを明らかにした。 現在,これらの研究成果を応用力学論文集およびSoils and Foundations に投稿中である。
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