研究課題/領域番号 |
18K04343
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
梅崎 健夫 信州大学, 学術研究院工学系, 教授 (50193933)
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研究分担者 |
河村 隆 信州大学, 学術研究院工学系, 准教授 (50324231)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 地盤工学 / 地盤環境 / 汚染地盤 / 杭基礎 / 吸水性高分子 / 遮水 / 周面摩擦 / 漏出防止 |
研究実績の概要 |
(a)カラム型膨潤・透水試験 吸水性高分子摩擦低減剤(FRC)のコート剤である接着性高分子の膨潤・透水試験を実施した.FRCは吸水性高分子(粉末)と接着性高分子を有機溶剤に分散させたものである.FRCと同様に接着性高分子(コート層)のみをガラス棒によってろ紙上に延ばして塗布する方法を用いたが,接着性高分子の浸透性が高く,塗布厚さに大小が生じ,ろ紙上に均一なコート層を作製することができないことが判明した.供試体作製方法として,従来の方法を用いてより広い面積に塗布し,均一な部分を切り取って供試体の面積を小さくする方法と,別の方法として,膜技術を応用することによりコート層をフィルム状にする新たな作製方法の2つを開発した.また,試験結果に基づいて,吸水遅延時間を決定するための試験方法を確立した. (b)杭先端モデル実験 モデル実験装置の作製と改良および計測器の検定を行った.地盤内の可視化を容易にするために,土槽を円柱から箱形に変更した.杭先端付近を精度良く模擬するために,小型の円柱模型杭から,大型の実杭の円周を平面で再現した面積の大きい板状の貫入体に改良した.さらに,汚染地盤中に存在する化学物質と粒径の大きい礫やコンクリート片に対するFRCの適用性を定量評価し,汚染地盤におけるFRCの基礎杭打設における長期的な摩擦低減効果を実証した.(1)耐久性試験(高温促進試験とゼリー強度試験)では,5種類の水溶液(NaCl 3.0%,HCl 0.01%,H2SO4 0.01%,Ca(OH)2 0.01%,NaOH 0.01%)を吸水したFRCの膨潤ゲルの耐久性を定量評価した.50℃で1500h後までの耐久性を有し,これは簡便法によると2年以上の耐久性に相当する.(2)摩擦試験では,礫などの粗粒材との接触面においても,分離層(膨潤ゲル層)が形成され,摩擦低減効果が発揮されることを明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(a)カラム型膨潤・透水試験:接着性高分子(コート層)に対する供試体作製方法の確立に時間を有したが,膨潤・透水試験を開始した.試験を実施する際の問題点の抽出・解決は概ね完了しており,概ね順調に進展している. (b)杭先端モデル実験:円柱土槽と小型模型杭から,箱形土槽と板状貫入体に設計変更し,模型実験装置と計測機器の作製・検定を行った.設計変更後の模型実験は次年度に実施することとした.
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今後の研究の推進方策 |
カラム型膨潤・透水試験および杭先端モデル実験装置を用いて,今後の研究を実施する. (a)カラム型膨潤・透水試験:①接着性高分子による膨潤遅延効果 令和1年度に引き続き,現有のカラム型膨潤・透水試験を用いる.ただし,開発した新たな供試体作製方法を用いて,高強度高分子(コート層)のみの試験を実施する.コート層の吸水遅延効果について,異なる拘束圧および塗布厚さにおける吸水遅延時間を求める.さらに,それぞれの場合におけるコート層の透水係数を定量評価する. (b)杭先端モデル実験:②基礎杭打設に伴う汚染地盤の下層への引き込み現象,③前述の①と②を応用した汚染物質の漏出防止法の効果 設計変更した箱形土槽と板状貫入体を用いて,模型地盤(汚染地盤,遮水層,支持層を砂層と粘土層で模擬)に対する杭の貫入実験とその後に引き続く透水試験を実施する.終了後に,箱形土槽の前面パネルを取り外し,杭の貫入による上部砂層の引き込み量を直接測定する.拘束圧,粘土層厚,塗布厚をパラメータとして,(i)無処理における漏水量の定量評価と(ii)汚染地盤の引込み影響範囲,(iii)吸水性高分子を塗布(膨潤遅延性・自己修復層の応用)した場合の引込み防止と(iv)遮水効果の検証を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
(次年度使用額が生じた理由) 設計変更に伴い,外注から大学内の加工技術センターに杭先端モデル実験装置の作製を依頼したため,費用が抑えられた. (使用計画) 次年度使用額は,実験装置の新たな改良と計測機器の追加として使用する.令和2年度請求額は,当初の予定通り,消耗品費,論文投稿料,旅費,人件費・謝金およびその他の経費として使用する計画である.
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