エロージョン量推定モデルは入射角度と対象物体の強度特性が必要である。実験では,入射時の入射角度(ANG1),法線方向速度(Vn1),接線方向速度(Vt1),供試体の一軸圧縮強度,衝突痕の長さ・幅・深さ・侵食量について整理を行なった。実験条件は,試料にファインサンドを用い,qu=100kPa,qu=200kPa,qu=300kPaとなるよう間隙比を調整して静的に締固めた供試体に対して,0.5mmふるい通過,0.425mmふるい残留のガラスビーズ(土粒子密度 2.60g/cm3)を入射粒子として用いた。入射粒子の入射角度は7.5・15・30・60度,衝突速度は6~10m/sとし,平均入射速度は約8m/sである。撮影には高速度カメラとPIV Laserを用いた。 実験結果より,衝突痕の長さはVt1に比例し,Vn1とは関係がない。また,qu=200kPaと300kPaでは,Vt1とVn1ともにほぼ一定値を示した。衝突痕の深さはVn1に比例し,Vt1に影響はみられない。衝突痕の長さ幅比は,値が1でほぼ円形,大きくなると細長い傾向となった。qu=100kPaでは入射角度の増加とともに円形に近づいた。qu=300kPaではばらつきはあるものの,入射角度に関わらず0.5から2.0に分布した。このように,衝突痕の形状はVn1とVt1の影響をうける。エロージョン量推定モデルでも推定式ではVn1とVt1を用いているため,入射角度との関係として整理した。なお,衝突痕の体積は,入射角度それぞれで平均した結果を用いた。qu=100kPaは入射角度の増加とともに衝突痕の体積は増加する。これに対しqu=200kPaとqu=300kPaは,入射角度30度が最も衝突痕の体積が大きくなり,入射角度60度では低下する結果となった。金属のerosion rateは,実験結果によると強度によって変化し入射角度10度から30度の範囲で最大となり,入射角度の増加とともに減少する。以上より,地盤に粒子が衝突する場合も金属の侵食問題と同様に検討できるものと考えられる。
|