本研究は砂の定常状態における拘束圧と密度の関係を一面せん断試験で求めることを目的としている。一面せん断試験ではせん断に従ってひずみや密度の不均一が生じるので、供試体の密度不均一を把握して、せん断帯内部の密度を測定することが重要である。供試体全体の体積がVaでその平均的な密度がRa=m/Vaであるとき、変形は体積がVbのせん断帯に集中していて、せん断帯の中の密度はRbで均一であると仮定する。また、せん断帯以外の体積Va-Vbの部分では密度が初期値Rcに等しく保たれていると仮定すると、Rc=-(Va/Vb)(Ra-Rc)+Rbという関係があることを利用してVbとRbを求めるという方法を提案している。 今年度は定体積条件での一面せん断試験を主に行った。定体積一面せん断試験では供試体全体の平均密度は変化しないので、局所的な密度変化も少ないと考えられる。しかしこの場合でもせん断変形に伴う密度の不均一化が生じていることを実験結果は示唆しており、いろいろな密度の定体積試験結果から拘束圧も変化しない条件を内挿することにより合理的に砂の定常状態を決定する方法を提案した。また、一面せん断試験供試体の密度の不均一状態を直接に定量的に測定するために、外部機関(航空港湾研究所)との共同研究としてX線CTスキャンによる3次元的な供試体密度分布の測定を行った。スキャンデータの解析手法についてはなお研究を要しており現時点で定量的な解析が完了していないことは遺憾であるが、試料の粒径とせん断帯の分布状況や体積などの本研究に関して重要な情報を得ることができた。
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