研究課題/領域番号 |
18K04352
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
菊池 喜昭 東京理科大学, 理工学部土木工学科, 教授 (40371760)
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研究分担者 |
兵動 太一 富山県立大学, 工学部, 講師 (80749078)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 杭の横抵抗 / 地盤反力 / 受働抵抗 |
研究実績の概要 |
重力式混成提の港内側に鋼管杭を打設し,その間に中詰を施すことによって防波堤の波力に対する抵抗を補強効果があること(杭式補強防波堤)が知られている.これまでの研究によって,本工法の効果は確認されているが,杭に作用する外力と杭に作用する地盤反力の関係は明確ではなかった.そこで,まず,単杭の水平載荷実験を行って杭に作用する地盤反力について検討したところ,地盤反力はp=ks・x・y^0.5(p:地盤反力,ks:地盤定数,x:深度,y:杭のたわみ)で概ね表現できることがわかったが,ksは,杭の最大曲げモーメントより深い部分では一定値と考えることができないことがわかった.この結果をもとに,杭式補強防波堤の中詰め形状の違いが杭に作用する外力の違いについて検討した.この検討では,単杭の実験から得られた地盤反力係数を用いて,地盤からの抵抗力を推定し,ケーソンから杭に作用する外力を計算したところ,おおむね現象をうまく説明することができた.このことはこの実験の範囲では受動杭でも通常の載荷方法で載荷された杭でも地盤反力係数設定方法がほぼ等しいことを意味している. 次に,杭の前面側と背面側の地盤面の高さを変えて,背面側(地盤面が低い側)から水平力を作用させる実験をした.この時,水平力を作用させる高さは,前面地盤面よりは低く背面地盤面よりは高い位置とし,載荷高さを変えた実験をした.この実験では,前面側と背面側の地盤高さの差は225mmとし,載荷高さは,背面側の地盤面から,それぞれ225mm(通常の載荷の地表面載荷に相当)と75mm(通常の杭の地中載荷に相当)とした.その結果,載荷高さが高い場合には,上記の単杭の載荷試験で得られる地盤反力係数で十分推定できる地盤反力が生じたが,載荷高さが低い場合には,上記の地盤反力係数では地盤反力を推定できないことが明らかとなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現段階では予定通り進んでおり,特段の問題はない.
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今後の研究の推進方策 |
昨年度得られた結果を詳しく議論するため,前背面で地盤高さが異なる実験について載荷高さを変えた実験をまず行う.続いて,受動杭としての挙動をより現実的に表現するため,水平力を載荷する高さを複数にし(ジャッキを複数用いる),それそれの載荷荷重を自由にコントロールすることで,杭に生じるたわみを任意にコントロールさせる.これらの実験結果から,受動杭の地盤反力係数の考え方を明確にする.さらに,数値解析によってこのような現象が解明できるかどうか挑戦する.一方で,地盤密度やケーソン重量を変えることで,杭式補強防波堤での杭に作用する荷重推定法について杭のたわみモードから検討する方法を提案し,実際の実験結果と比較し,簡易設計モデルを構築する.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者の研究に関わる費用10万円は今年度にまとめて使用を予定している.これは,今年度から解析に着手することが適当であると判断したためである.残りの24044円については購入した一部の消耗品の価格が想定よりも安くなったためであり,今年度の実験的研究の中で有効に利用する.
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