従来型のアンカーでは、中心ロッドと周辺地山をセメント等の固化剤で接着させることが引抜抵抗力の源である。この接着効果は経年的に低下していくことが知られており、社会問題となっている。本研究で提案した拡翼アンカーは、先端の拡翼部で地盤を物理的に把持するため、その効果は減衰しにくい。アンカー工法は斜面安定の中心的な工法の1つであり、したがって拡翼アンカーの開発の社会的意義は大きい。本研究の学術的意義としては、信頼性の高い拡翼メカニズムを提案しその有効性を実証したこと、拡翼アンカーの引き抜き抵抗の推定式を提案したこと、モデル地盤および原位置地盤で拡翼アンカーの有効性を実証したこと等を挙げることができる。
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