地盤改良工事においても騒音,振動の低減,エネルギー消費の削減および温暖化対策としてCO2の排出削減が求められている.このような状況にあって,近年,超音波振動を砂に直接または間接的に伝えて締め固める方法が提案され,室内土槽による基礎実験が行われている.この方法が現場施工に活用できれば騒音,振動を伴わない新しい施工法になると考えられる.本研究では、水中に堆積した高含水状態にある浚渫土を超音波を用いて減容化(高密度化)する技術を開発する目的で,超音波照射装置を試作・改良し,基礎的な実験を試みている.昨年度は,減容化率30%を数値目標として,超音波照射装置,振動子に改良を加えることにより電圧,周波数を正しく出力することができるようになり,小型容器において周波数35~40kHzにおいて減容化率30%を達成することが出来た.今年度は,昨年度の研究成果をもとに水中に堆積した浚渫土の減容化の実用化に向けた技術開発を目的として,新たに試作した超音照射装置,実用サイズの試験容器を用いて実験を行った.試料は細粒土(珪石紛,珪砂)を使用した.実験方法は水中に投入した細粒土に対し超音波を水平方向より照射し,周波数は30~40kH,照射時間は15~30分とし,試験後の含水比,湿潤密度,乾燥密度,間隙比を測定し,相対密度,減容化率を算出した.また,試験後の堆積土の土壌硬度を測定し,超音波を照射しない場合と比較することにより,浚渫土の減容化(高密度化)特性を明らかにした.その結果,周波数30kHzで強力な出力電圧となり,照射時間30分程度で相対密度90%,減容化率34%となり,水中堆積浚渫土の減容化技術の実用化に向けて良好な結果が得られた.さらに、その試験結果をもとに実用化に向けた技術提案を行った.
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