研究課題/領域番号 |
18K04367
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
音田 慎一郎 京都大学, 工学研究科, 准教授 (50402970)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 流路変動 / 数値モデル |
研究実績の概要 |
近年,激甚化する豪雨災害では,洪水流が河床や河岸を構成する多量の土砂を侵食し,河川の流路が大きく変動する現象が確認されている.こうした現象を予測する河川洪水流,河床・河道変動モデルでは,これまで実用性の観点から平面的な水の流れ場を解く巨視的なモデルが汎用されてきたが,災害リスクが高くなってきている中で精度の高い予測を行うためには,氾濫流の非定常的な挙動と,地形変化をもたらす河岸,河床近傍の局所的な流れと土砂輸送特性を取り扱うことのできる数値解析モデルの構築が必要である.本研究では,河道内への土砂堆積による蛇行発達と側岸侵食現象を取り扱い,河道内における砂州の挙動,及び砂州形成に伴って生じる流路変動を精度よく予測できる3次元数値解析モデルの構築を目的としている. そこで,表面流と浸透流を同時に予測できるデカルト座標系での3次元流体解析モデルと土砂輸送モデル(平衡流砂モデル)を組み合わせ,水際・河床近傍の複雑な流れ構造と土砂輸送特性を考慮した数値解析モデルの構築を行った. また,直線水路での交互砂州形成過程に関する水理模型実験を行い,砂州の形状特性,移動速度について計測するとともに,流路変動現象についても水理模型実験を行い,蛇行流路形成過程での蛇行振幅,蛇行波長について考察を行った.構築した数値モデルを上記2つの水理模型実験に適用し,モデルの妥当性を検証した.さらに,河床波の形成過程として,交互砂州だけではなく,3次元反砂堆についても数値解析を行い,その形成機構について考察を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は,表面流と浸透流を同時に予測できる3次元流体解析モデルと土砂輸送モデルを組み合わせ,水際・河床近傍の複雑な流れ構造と土砂輸送特性を考慮した数値解析モデルの構築を行い,河道内の砂州挙動,及び砂州形成に伴って生じる流路変動を精度よく予測できる3次元数値解析モデルの構築を目的としている. そこで,現在までに3次元流体解析モデルと土砂輸送モデルをカップリングさせ,数値モデルの構築を行った.また,直線水路での交互砂州形成過程,及び河岸侵食を伴う蛇行流路形成過程に関する水理模型実験を行い,砂州の形状特性や移動速度,流路の蛇行波長や振幅について計測を行った. 数値モデルを模型実験に適用し,モデルの妥当性を検証した.その結果,砂州形成過程については,平衡状態における砂州波長,波高,移動速度について概ね再現できることを示した.また,蛇行流路形成過程については,蛇行波長に関して実験結果と概ね一致することを確認した.一方,河岸侵食量が小さく,蛇行振幅については再現性が十分ではなかった.
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今後の研究の推進方策 |
本研究は,河道内の土砂堆積による蛇行発達と側岸侵食現象を取り扱い,河道内における砂州の挙動,及び砂州形成に伴って生じる流路変動を精度よく予測できる3次元数値解析モデルの構築を目的としている.そこで,表面流と浸透流を同時に予測できる3次元流体解析モデルと土砂輸送モデルを組み合わせ,数値解析モデルの構築を行った.また,直線水路での交互砂州形成過程,及び河岸侵食を伴う蛇行流路形成過程に関する水理模型実験を実施し,モデルの妥当性を検証した.蛇行流路形成過程における河岸侵食量が小さく,蛇行振幅については再現性が十分ではなかったため,その原因を考察し,数値モデルの高度化を図るとともに,再度模型実験に適用してモデルの妥当性を検証する.
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