研究課題
本研究の目的は、心理学と水工学を融合することで、わかりやすく有用な防災情報の新しいツールを開発することである。研究年度3年目は、2年目に開始した富山市を流れる神通川および常願寺川流域を対象に洪水氾濫計算を継続的に実施し、洪水氾濫計算における家屋の取り扱い、リスク評価の分類の相違が、どの程度結果に不確実性を生じるのか評価を行うことが出来た。また、3年目には富山県全河川を対象として、堤防決壊リスク、特に浸食リスクの高い個所の抽出とそのわかりやすい明示方法を提案した。さらに、3年目には、洪水氾濫解析結果のわかり易い明示方法として、図、アニメーションに加えて、Virtual Reality (VR)で可視化することにも成功した。以下に研究期間全体としての成果をまとめる。住民にとってわかりやすいハザードマップを新しく開発するため、富山市を流れる神通川、常願寺川を対象に洪水氾濫計算を実施した。洪水氾濫計算結果の見せ方として、浸水深、流速に基づくリスクランクを新しく提案し、これに基づくハザードマップを提案することが出来た。次に、富山県を流れる1級、2級河川の全てを対象として、詳細な浸食ポテンシャルの評価を行うことが出来た。これにより、極めて急流な富山県河川で、今後はどの堤防が浸食破堤の危機にあるのか、この点に関しても住民にわかりやすい情報で明示する手法が開発された。最後に本研究で実施した洪水氾濫解析をハザードマップ以外に、アニメーション動画とVRで可視化することに成功した。多くの方にVRで3次元の地形と氾濫水の挙動を見て頂くことで、水害リスクの認知と自分の家の立地、水害リスクなどの多くを学ぶことが出来たと高い評価を得ることが出来た。特に富山での山地から富山湾へとダイナミックに地形が変わるような流域では、3次元での表示は極めて有益であることが確認された。
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土木学会論文集B1(水工学)
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