研究課題
最終年度は,これまでの研究成果および社会情勢を受け,一部計画を変更した.現地調査の予定を減らし,特に,これまでの成果を受けて流砂量算定の胆となる検討,混合粒径河床の詳細な流れの特徴および粒子挙動を詳細に調べる基礎実験を集中して実施した.全研究期間中の流砂実験成果より,流砂として存在する粒度が流速分布を変化させること,砂粒子速度にはばらつきがあり,計測粒子速度の中央値は流速より小さいことなどが示された.流砂量は,河床に瞬間的に存在する量と粒子速度を乗じた値であり,流速が大きい場では砂粒子が速く流下する.例えば,細粒分が入り粗度が減少し底面流速が加速すると河床近傍の粗粒分の瞬間存在量は減少するはずであり,実際にそれが確認された.また,浮遊砂を含む流砂場では,底面濃度が浮遊砂濃度分布を支配するため,掃流状態で流下する砂の濃度が浮遊砂濃度分布を決める.ただし,掃流および浮遊状態で流下する場合,浮遊砂として流下する速度が速いために,ケースによっては浮遊状態の砂の通過が8割を占めたり,浮遊状態の砂通過量分布は底面付近で大きくなったりする.そのため,平衡状態でない流砂現象では,底面の濃度,上層の濃度をそれぞれ考える必要があると言える.また,流砂の存在は粗度に影響を与えるため混合粒径で流砂現象を考える際には,河床ベースで粗度を考える現状の流砂モデルの改良が必要となり継続検討中である.一方で,交互砂州を扱う実験から砂州河床では,砂州の前縁線の通過する粒度と供給砂量の関係で砂州の流下現象,表層粒度が決まることが分かった.これにより平坦河床とは異なる表層粒度の変化や,土砂供給の回復の仕方があり,一度土砂供給量減少の影響を受けた砂州の回復は時間が要することが分かった.今後は,平坦河床における混合粒径における流砂量評価等を改良し,現地の状況と合わせ砂州河床での流砂量簡易算定へ反映させる予定である.
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