自転車交通への需要が高まる中、安全で快適な自転車の走行環境を整備するため、走行路面の効果的かつ効率的な調査と客観的データに基づく合理的な走行路面の評価・管理は益々重要となると考えられる。しかし、現在の路面評価・管理手法は、車道における自動車の挙動に基づいて構築された手法である。また、乗り心地に直結する路面の平坦性評価指標等は自動車の挙動をモデル化したものであり、自転車の挙動を考慮したものとはなっていない。そこで本研究では、自転車の安全性や快適性といった質の高い道路交通基盤整備を行うために、自転車の走行挙動を考慮した路面評価指標の開発と路面評価システムの構築を行うことを目的としている。 初年度、自転車前輪部の振動モデルを2自由度系自転車振動モデルへ改良を行った。その結果、周波数応答関数を算出したところ、自転車の振動特性が再現され、開発したモデルは実用上問題のないことが確認された。 研究2年目では、開発された振動モデルに実路面のプロファイルを入力した場合の再現性について検証を行った。また、乗り心地を評価する自転車体感評価実験を行うことにより、開発したモデルを用いて自転車版IRIとしてBRI(Bicycle Ride Index)を構築し、BRIの妥当性について検証を行った。検証の結果、主観評価とBRIの相関は高いことが示された。また、自転車体感評価実験により10~30 Hz付近の振動が影響していることが示唆され、自転車と自動車では乗り心地に影響する周波数帯が異なることが明らかとなった。 研究3年目はBRIと乗り心地の関係性の把握や BRI による路面管理基準の検討を試みた。その結果、BRIと乗り心地の主観評価で高い相関がみられ、 BRI は自転車の乗り心地を評価できるものといえる。また、路面評価の基準となる BRI を算出し良い路面と悪い路面を判断する一つの基準を提案した。
|