研究課題/領域番号 |
18K04380
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
池田 清宏 東北大学, 工学研究科, 教授 (50168126)
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研究分担者 |
大澤 実 東北大学, 工学研究科, 助教 (50793709)
高山 雄貴 金沢大学, 地球社会基盤学系, 准教授 (90612648)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 群論的分岐理論 / スペクトル解析 / 中心地理論 / 都市分布 / 経済地理学 / メガロポリス / 正多角形 / 既約分解 |
研究実績の概要 |
本研究では,一様な平面上におけるパターン形成という考えにより,中心地理論に科学的根拠を与えることを目的とする.具体的には,以下に示す3つの研究事項を遂行することにより,理論・数値解析・実データという多岐に渉る視点からの中心地理論の検証を行う.あわせて,新経済地理学モデルの現実的な問題への導入を行う. 本研究の目的である,中心地理論の科学的検証を行うために,下記の要領で研究を実施した.1)中心地理論の一様分布から,正六角形状パターンが自己生成されるという命題を取り上げ,群論的分岐理論により検証した.2)中心地理論では正六角形格子を用いているが,なぜ正方形格子用いないかという批判が根強い.この批判を払しょくするために,両格子上の集積パターンの比較を行い,正六角形格子の優越性を示した.3)正六角形格子上で生成される分岐パターンの格子サイズに対する依存性を明らかにした.4)都市の空間分布の周波数分析法を提案した.
また、以上の成果を発展させる形で、経済学のリプリケータ・ダイナミクスにおける「自明解理論」を提案し、人口集積の基礎メカニズムの解明の一歩とした.以上の成果は、速報性が高く権威ある科学誌である International Journal of Bifurcation and Chaos, Journal of Economic Dynamics and Control, Networks and Spatial Economics 誌に搭載あるいは搭載予定となっている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実績の欄に記したように順調に推移しています.
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今後の研究の推進方策 |
今年度までの研究により、分析手法は確立できており、その成果は現在投稿論文として執筆中である.分析手法の適用例として,今年度は、世界中の都市分布における正六角形状パターンの発見を行う.具体的には,City PopulationとOpenStreetMap により公表された情報から,各行政区分毎の人口とその緯度・経度などの情報を読み取り,地理情報データベースを作成する.対象とする領域に対し,今年度構築した都市の空間分布の周波数分析法を適用し,スペクトル分布を求め,卓越するスペクトルに対応する空間分布を求める.最後に,世界中の都市分布における正六角形状パターンの発見を行う.
この際,群論的スペクトル法の高度化を行うことも大きな研究目的とする.高周波成分によるノイズの除去法として,隣接行列の固有値の値が小さい成分を除去する手法を提案し,南ドイツのデータに対しては,有効な結果を得ている.本年度は,この手法を世界中の都市分布のデータに対して適用する予定である。
一般に立地研究における関心は,人口データの背後に潜むパターンであり,本研究の対象とする六角形7パターンもその一つである.データの精度と複雑さのバランスをとって汎化誤差を最小化し,空間構造を精度よくとらえる方法が必要となる.そのための手法として,今年度は,Lasso回帰とVariation partitioning を導入することを検討している.最初に,南ドイツのデータに適用し,その後全世界のデータへの適用していくことを考えている.
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