研究実績の概要 |
今年度は、「Time evolution of city distributions in Germany, Kiyohiro Ikeda, Minoru Osawa, Yuki Takayama. 」に関する研究を本課題の主要な成果として取りまとめた。この研究は、従来申請者らが提案してきた手法を高度化し、体系化したものである。その結果、南ドイツにおける実人口データにおける特徴的な人口分布(主要な都市とその周辺の衛星都市群)を抽出することに成功し、人口分布の特徴的な変化をとらえることに成功した。また、ドイツの統一前後における人口分布の変化の時系列解析を遂行した。この内容は、現在、英文科学誌に投稿中である。 この研究を補足・補強する研究として、「Global bifurcation mechanism and local stability of identical and equidistant regions: Application to three regions and more, Jose M. Gaspar, Kiyohiro Ikeda, Mikihasa Onda」や「Break and sustain bifurcations of S_N-invariant equidistant economy, H. Aizawa, K. Ikeda, M. Osawa, J. M. Gaspar」を実行した。この研究は、複数の同一の都市が存在するときに、どのような人口集積分布が発現するかの基礎メカニズムを探求したものである。その結果、前述の特徴的な人口分布(主要な都市とその周辺の衛星都市群)が新経済地理がモデルの数値解析により再現できることを示した。この2編の論文も英文科学誌に投稿中である。この研究の成果が目覚ましかったことから、今後はこの方向の研究に力を入れて行きたいと思っている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の最終年として、スペクトル解析手法の高度化と各種論文の執筆にとりかかっているところである。現在とりかかっている課題は1)アメリカ東部の人口分布のスペクトル解析と都市ネットワークの特定。本年度は、特徴的なスペクトルを発する地域の特定の自動化を実現し、数多くの人口データを取り扱えるシステムの構築を目指す。2)NEGモデルによる都市の分布パターンのシミュレーションを行う。このとき、人口分布のスペクトル解析により抽出した、核周辺パターンという衛星都市型分布の発生メカニズムの解明に力点を置くこととする。この課題の成果の一端は、How and where satellite cities form around a large city: Bifurcation mechanism of a long narrow economy, K. Ikeda, H. Aizawa, JM Gasparとして、鋭意執筆中である。また、関連学会における口頭発表も随時行予定である。
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