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2020 年度 実績報告書

潜在的限界集落地区における社会的ネットワークを活用した生活の質の維持・改善

研究課題

研究課題/領域番号 18K04382
研究機関東北大学

研究代表者

青木 俊明  東北大学, 国際文化研究科, 教授 (60302072)

研究分担者 鈴木 温  名城大学, 理工学部, 教授 (00356073)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワード高齢化地区 / 限界集落 / 地域愛着 / 居住意思決定 / 定住 / 住み替え
研究実績の概要

2020年度は、「転居による居住効用の変化」と「潜在的限界地区の居住意思決定」を検討した。さらに都市部の交通整備が居住意思決定に与える影響についても検討した。
分析の結果、転居経験者と転居非経験者では、転居非経験者の満足感の方が有意に高かった。その原因として、転居による支出が経済的余裕を失わせ、それによって近所付き合いが低下したことや、慣れない環境に転居したことによって知り合いが減少したことから、人間関係に対する満足感が低下し、その分だけ総合的な生活満足感が低下していることがうかがえた。
居住意思決定における規範の影響については、両地域の調査ともに、歴史・地縁に対する評価が居住継続性に大きく影響を及ぼすことが明らかとなった。また、東北地方の潜在的限界地区では、住民の居住意向は同地区に暮らす他者の居住意向の影響を受けることがうかがえた。特に、ソーシャル・キャピタルの高い地区ほど、このような傾向がうかがえた。
さらに、都市部において交通整備が行われ、居住環境が改善した場合であっても、直ちに住み替え需要が喚起されることはないことがうかがえた。その一方で、鉄道整備等が行われ、バスのネットワークが再編された場合には、一部の地区で移動利便性に対する満足度の低下が見られた。これより、居住満足度の点から見れば、パレート改善にならないような政策を実施する場合、不利益を被る集団については短期的な補填策が必要であることが分かる。
研究期間全体を通じて得られた知見を整理すれば、都市部の居住意思決定と潜在的限界地区の居住意思決定は、構造そのものが異なることが分かった。さらに、都市部の重要な効用形成要因は社会経済要因だが、潜在的限界地区のそれは人間関係やつながりの象徴となる資産の継続だった。本研究では、これらを包含するフレームを提示し、相違点も明示した。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] IMPACTS OF TERRITORIAL CONNECTION AND HISTORICAL FACTORS ON CONTINUITY OF LIVING IN LOCAL AREA2021

    • 著者名/発表者名
      SUZUKI Atsushi、KIKKAWA Ryosuke、HIRANUMA Suguru、AOKI Toshiaki
    • 雑誌名

      Journal of Japan Society of Civil Engineers, Ser. D3 (Infrastructure Planning and Management)

      巻: 76 ページ: I_557~I_567

    • DOI

      10.2208/jscejipm.76.5_I_557

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] The Impact of Social Norms on Settlement Intention in Depopulated Community2021

    • 著者名/発表者名
      Siyi AN & Toshiaki AOKI
    • 学会等名
      Eastern Asia Society for Transportation Studies
    • 国際学会
  • [学会発表] 人口減少地域の居住継続性に影響を与える要因分析2020

    • 著者名/発表者名
      吉川涼介・鈴木 温・平沼 克・青木俊明
    • 学会等名
      土木計画学研究発表会
  • [学会発表] 潜在的限界地区における社会規範が居住意思決定に及ぼす影響に関する研究2020

    • 著者名/発表者名
      安 思奕・青木俊明・鈴木 温
    • 学会等名
      土木計画学研究発表会
  • [学会発表] 転居者にみる環境変化が居住満足感に与える影響2020

    • 著者名/発表者名
      良原東栄・青木俊明・菊池 輝・稲村 肇
    • 学会等名
      土木学会東北支部技術研究発表会

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公開日: 2021-12-27  

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