研究課題/領域番号 |
18K04384
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
金井 昌信 群馬大学, 大学院理工学府, 准教授 (20375562)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 防災教育 / 避難訓練 / 防災キャンプ / 教育効果計測 |
研究実績の概要 |
多様な学習効果を生む防災教育のあり方の体系化およびその社会実装技術の開発を目的として、以下の研究を行った。 まず、避難所生活という非日常体験を通じて、防災に関する知識や技能を学ぶだけでなく、他者との協力や思いやり、普段の生活の大切さを学ぶことを学習のねらいとした防災キャンプを小中学生を対象に実践した。そして、その参加者を対象にした質問紙調査により、防災キャンプ参加効果を検証し、防災に関する知識・技能の習得だけでなく、防災キャンプの体験プログラムを工夫することにより、協調性や思いやりといった面での成長も期待できることが確認された。 また、地震を対象とした実践的避難訓練の導入効果についても検証した。これまで児童生徒に事前に訓練実施を告知したうえで、授業時間中にしか避難訓練を実施していなかった地域を対象に、児童生徒には限定的な事前告知(今日、どこかの時間で訓練を行う)しかせずに、清掃時間または休み時間に訓練を実施した。そして、避難訓練の前後に児童生徒を対象に実施した質問紙調査より、少なくない割合の児童生徒が地震発生時に適切な対応行動をとることができていなかったことが確認された。また訓練実施後に教育を対象に実施したアンケートの結果より、これまでと異なる訓練に対して概ね前向きな意見であったこと、また児童生徒の訓練時の様子から事後指導の重要性に気づいていただけたことが確認された。 このほか、中学生を対象に、災害発生時に起こりえるジレンマを題材とした防災クイズを用いた学習実践を行い、その学習効果を把握した。また教員を対象とした災害発生時を想定した児童生徒の安全確保や避難所運営に関する研修プログラムを開発し実践した。これにより、児童生徒の安全管理と、児童生徒への防災教育はその内容が異なることを参加教員に理解してもらうことを通じて、学校現場への防災教育の実装方略に関する知見を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
防災を題材とした体験学習によって、多様な学習効果が得られるとの仮説のもと、具体的な学習プログラムおよびその効果計測方法を検討し、具体的な実践を多様な学習対象者と一緒に実践することが通じて、効果的なプログラムを検討するための基礎的データを得ることができたため、おおむね計画通りに順調に進展していると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度の実践から得られたデータを詳細に分析し、以下の内容の研究を深めていく。 まず児童生徒を対象とした防災キャンプの効果的プログラムを検討し、再度実践する。その際にはプログラムの学習テーマだけでなく、その内容を具体的にどのようにアレンジするのかまで検討する。具体的には学習の導入やねらいをどのように児童生徒に伝えるのか、主体的に学ぶためのどのような工夫をするのかなどを検討する。 また地震を想定した実践的避難訓練を広く学校現場に普及させるための方策(社会実装策)についても検討する。事前告知ありで授業時間中にしか地震の避難訓練を実施していない学校はいまだ少なくない。そのような学校により実践的な訓練を導入してもらうための知見を整理する。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末に予定していた情報収集のための出張旅費を確保していたが、キャンセルとなったため、少額の次年度使用額が生じた。これについては翌年度早々に情報収集のための出張旅費として使用する予定である。
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