多様な学習効果を生む防災教育のあり方の体系化およびその社会実装技術の開発を目的として、令和4年度は以下の研究を行った。 まず、これまで継続して研究を行ってきた多様な教育効果が期待できる体験型学習(防災キャンプ)プログラムとその効果計測手法の開発については、前年度までに確認された結果の普遍性・妥当性を検証するために、同様の内容で教育活動実践およびその実施効果の計測を行った。その結果、防災キャンプを通じて、主体性や協調性、思いやりといった点で自らの成長を実感した児童がいることは前年度同様確認することができたが、防災キャンプ後に、それ以前よりも普段の生活の中で、友だちを助けるような行動を多くとるようになったことまでは確認することができなかった。 次に、地震を対象とした実践的避難訓練の導入方略については、これまでモデル地域内のいくつかの小学校を対象にその導入を推進してきたが、令和4年度にはモデル地域の教育委員会との連携のもと、市内の全小中学校で導入するようになった。またこの事例を県内全域に周知することで、その社会実装を促すことを試みた。そして、その効果を検証することを目的として、県内の全小中学校を対象にアンケート調査を実施し、実践的避難訓練の実施状況を把握した。その結果、2019年以降、その実施率は上昇傾向にあることが確認されたが、その一方で、以前として4割強の小中学校が従来型の避難訓練(事前に児童生徒に訓練実施を告知し、教室で授業中に実施)を繰り返し実施していることが確認された。
|