研究課題/領域番号 |
18K04399
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
鈴木 温 名城大学, 理工学部, 教授 (00356073)
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研究分担者 |
松本 幸正 名城大学, 理工学部, 教授 (30239123)
中村 一樹 名城大学, 理工学部, 准教授 (80723791)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 住宅団地再生 / QOL / 居住地選択 |
研究実績の概要 |
(a) 世帯マイクロシミュレーションを用いた住宅団地の世帯構造変化分析に関して、対象とする菱野団地の空間データ(ゼンリン住宅地図、建物ポイントデータ、地価データ等)、居住世帯データ(国勢調査、瀬戸市が実施した菱野団地アンケート調査データ等)の購入・収集を行い、データを整備した。その後,整備した国勢調査データ等をもとに世帯の初期マイクロデータを生成した.生成した世帯初期マイクロデータと収集した空間データから、転居確率の推定、住宅タイプ選択、ゾーン選択モデルのパラメータ推定を行った。これらのパラメータを用い、将来の団地居住者の世帯構造変化や転入世帯の居住分布を予測可能な世帯シミュレーションモデルの基本形を構築することができた(平沼・鈴木(2019)).また、対象とする菱野団地の再生案の検討を行い、センターエリアの現状および再生案に関する3D都市モデルを構築した(飯塚・鈴木(2019))。これらの将来予測や再生案については、瀬戸市の菱野団地再生計画策定検討委員会や菱野団地で開催されたイベントにて、団地居住者等に向け発表するとともに、アンケート調査によって、住民からのフィードバックを得ることができた。 (b) 居住,交通,商業・公共サービス,QOLの相互の関係性分析に関して、Webアンケート調査を実施し,居住地の歩行空間とQOLアウトカムに関する意識調査データを収集し、共分散構造分析を行い、歩行空間の評価とQOLの関係性を構造化することができた(大矢・中村(2019))。また、まだ論文として発表はしていないが、瀬戸市が実施した菱野団地のアンケート調査データをもとに,商業・公共サービス等へのアクセシビリティとQOLの関係性について構造化を行った.さらに、(b-2)アクセシビリティ改善策の検討と評価に関して、公共交通サービスの利便性が利用に及ぼす影響を分析した(小林・松本)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(a) 世帯マイクロシミュレーションを用いた住宅団地の世帯構造変化分析に関して、対象地域の空間データ、居住世帯データを整備することができ、これらのデータを用いて、当初の予定通り、世帯マイクロシミュレーションモデルの基本形を構築することができた。また、研究室の学生らとともに、対象とする菱野団地の再生案の検討を行い、対象団地の現状および再生案に関する3D都市モデルを構築した。3D都市モデルの構築は当初の予定には含まれていなかったが、菱野団地再生計画策定検討委員会や菱野団地で開催されたイベントで、団地居住者等に再生案を発表したため、視覚化を重視し、3D都市モデルを構築した。アンケート調査から「将来の姿」がイメージしやすい」等、高い評価を得ることができた。一方で、他の住宅団地の再生計画等の情報収集整理が不十分であった。 (b) 居住,交通,商業・公共サービス,QOLの相互の関係性分析に関して、Webアンケート調査や瀬戸市が実施した菱野団地のアンケート調査データをもとに,居住、交通、商業・公共サービス等へのアクセシビリティとQOLの関係性について構造化を行うことができ、H30年度の予定はおおむね順調に進展した。
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今後の研究の推進方策 |
(a) 世帯マイクロシミュレーションを用いた住宅団地の世帯構造変化分析 ・居住・生活・QOLに関する実態・意識に関するWeb調査:昨年度実施できなかった、家族構成,居住履歴,住み替え希望,移動手段,日常活動の実態及び満足度等に関するWeb調査を行う. ・世帯マイクロシミュレーションを用いた将来居住世帯の予測:平成30年度に構築した世帯マイクロシミュレーションを改良し、予測精度を高めるとともに、10~20年先の世帯構造や居住分布の変化予測を行う. (b) 居住,交通,商業・公共サービス,QOLの相互の関係性分析 ・QOLの評価と構造化:昨年度構築したアクセシビリティや歩行空間のウォーカビリティとQOLの関係分析をさらに進めるとともに、(a)で述べた新たに調査を行う予定のWeb調査データを用い、居住地選択や家族構成等も含めた総合的なQOLの関係性分析を行う予定である。 ・QOL改善策の検討と評価:菱野団地内で、高齢者の運動や健康の増進を対象とした取組を実践し、その効果を検証する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
H30年度に実施を予定していた「居住・生活・QOLに関する実態・意識に関するWeb調査」を次年度に実施することにしたため、次年度使用が生じた。H30年度は、瀬戸市が実施したアンケート調査と別予算で実施していたWeb調査をプレ調査として、分析を進めることができた。令和元(2019)年度は、これらの成果を踏まえ、「居住・生活・QOLに関する実態・意識に関するWeb調査」を設計し、実施する予定である。
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