研究課題/領域番号 |
18K04400
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研究機関 | 秋田工業高等専門学校 |
研究代表者 |
長谷川 裕修 秋田工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (00533374)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 交通行動分析 / 視線計測 / 行動文脈 / 慣性センサ / センサフュージョン |
研究実績の概要 |
本研究は,装着時の心理的・肉体的負荷が小さい眼鏡型装置(視線計測・3軸加速度センサ・3軸角速度センサ),スマートウォッチ(心拍数計・GPS・加速度センサ・角速度センサ)等の組合せによって自動的に収集される時系列データを用いて,(1)交通行動中の被験者の心理的・身体的状態から「戸惑い」「順調」「集中」などの活動状態を精度良く自動検出するとともに,(2)視線計測結果から得られる視野映像およびヒートマップ・ゲイズプロットを活用して原因を特定する技術の開発を目的とする. 以上の目的に向けた平成30(2018)年度の成果は,以下の7点である.(1)安全で円滑な実験を行うために実験方法の事前検討を行った.(2)眼鏡型装置を購入し,使用方法の確認とそれを踏まえた実験方法の再検討を行った(3)敷地内予備実験により,屋外環境において眼鏡型装置によって得られる視線計測データの取得率を把握した.特に,注視対象物が無い場合に取得率が低下することが明らかとなった.(4)視線解析用ソフトウェアを購入した.(5)敷地外予備実験を行い,実道路環境での歩行者の注視行動の測定を行った.(6)敷地外予備実験で得られた視線計測データを解析してヒートマップ・ゲイズプロットとして可視化し,視野映像とあわせて被験者属性による注視行動の違いを把握した.(7)視線計測機能の無い眼鏡型装置(3軸加速度センサ・3軸角速度センサ)から得られた時系列データを用いて通学路歩行中の頭部姿勢推定を行い,スマートウォッチから得られた位置情報を併用して,特徴的な歩行者挙動(歩く・注意しながら歩く・止まる・注意しながら止まる)を把握する方法を開発した.また,時系列データと歩行者挙動との関係を精度良く推定する判別モデルの開発にも成功した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究初年度である2018年度において,特に重要な成果は以下の2点である.(1)眼鏡型装置(視線計測・3軸加速度センサ・3軸角速度センサ)を用いた予備実験を行い,被験者属性による注視行動の違いを把握した.(2)視線計測機能の無い眼鏡型装置(3軸加速度センサ・3軸角速度センサ)から得られた時系列データを用いて通学路歩行中の頭部姿勢推定を行い,スマートウォッチから得られた位置情報を併用して,特徴的な歩行者挙動(歩く・注意しながら歩く・止まる・注意しながら止まる)を把握する方法を開発した.また,時系列データと歩行者挙動との関係を精度良く推定する判別モデルの開発にも成功した. 以上のように,本研究はおおむね順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
初年度の成果をもとに,2年度目である2019年度には視線計測機能付きの眼鏡型装置搭載の3軸加速度センサ・3軸角速度センサから得られた時系列データを用いて頭部姿勢推定を行い,特徴的な歩行者挙動(歩く・注意しながら歩く・止まる・注意しながら止まる)を把握する方法を検討するとともに,時系列データと歩行者挙動との関係を精度良く推定する判別モデルの開発を行う予定である.また,注視行動もあわせてこの判別モデルに組み込む方法を検討したいと考えている. 最終年度である2020年度は本実験を行うとともに,研究の最終とりまとめを行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた費目および金額は1)旅費30,000円,2)人件費・謝金10,000円,3)その他8,000円である. このうち1)旅費および2)人件費・謝金については,本研究課題の応募時に計画していた遠隔地での実験が金銭的に困難となったため,実験計画を見直したことにより生じた.3)その他については論文投稿料として計上したが,使用しなかったため生じた. 今後の使用計画として,1)旅費は研究成果の発表および情報収集のための学会参加時に使用する予定である.2)人件費・謝金は本実験の実施時に使用する予定である.3)その他は現在投稿中の論文が受理された場合の掲載料として使用する予定である.
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