研究課題
本研究の目的は,実地震を想定した外力作用条件における実大鉄筋コンクリート造建築構造部材の損傷量進展メカニズムを解明し,損傷量評価手法へと展開させることである。最終年度は,新型コロナ感染症による活動制限のため,主に解析的研究を中心に,既往の実験データ・観測データから本研究の目的に資する技術開発を進めた。具体的にはこれまで培ってきた画像計測技術のノウハウを用いて,一般画像処理によるひび割れ検出技術とA.I.を用いたひび割れ検出技術の双方のメリット・デメリット/得意・不得意について検証をした。一般画像処理によるひび割れ検出技術では,幾何学的画像処理において閾値の設定が精度に大きく影響することが分かっていたが,A.I.を用いた(Semantic Segmentationによる)ひび割れ検出技術では,入力データとしての画像解像度が精度に大きく影響することが分かった。併せて,被害調査時に専門家が目視で判断している地震によるひび割れと,地震発生前から生じていた経年劣化によるひび割れとの区分を,A.I.を用いたひび割れ検出においても実行可能かについて検討を進めた。その結果,ひび割れ領域の境界領域画素の特徴(色味ほか)を学習させることで,古いひび割れはプリプロセスとしてDetection技術で除去し,新しいひび割れはSegmentation技術でひび割れ領域を検出すると,地震による新しいひび割れを抽出できることが技術的に可能であることが示された。これらを踏まえて,画像処理に基づき,既往の実験結果から,部材変形角の増大に伴うひび割れ進展を,ひび割れ幅-ひび割れ長さ関係を表わす組み合わせ量として抽出した。得られた情報に基づき,これまでの研究で開発してきた柱・梁部材だけでなく,壁部材を対象とした簡易ひび割れ量進展評価手法を開発し,その精度を検証することができた。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)
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