研究課題/領域番号 |
18K04425
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研究機関 | 静岡理工科大学 |
研究代表者 |
崔 琥 静岡理工科大学, 理工学部, 准教授 (40512009)
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研究分担者 |
晉 沂雄 明治大学, 理工学部, 専任講師 (60727006)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 耐震安全性 / 無モルタル / 耐震ブロック / 等価粘性減衰定数 / 再利用率 |
研究実績の概要 |
研究2年目である本年度は,昨年度に開発した,面外方向へ転倒しにくい,かつ,施工の簡便さを考慮した,目地モルタルを使わないメインブロックとキーブロックのみで構成される2種類の耐震ブロックを用い,基本的な耐震性能を検討すべく,典型的なコンクリートブロック造試験体および2種類のインターロッキング機構を有する耐震ブロック造試験体(キーブロックの形状より,ピーナッツ型および亜鈴型と称する),計3体の試験体(既存型試験体,ピーナッツ型試験体および亜鈴型試験体)を制作し,面内静的載荷実験を行った。試験体は1階建ての倉庫建物を想定し,試験体サイズは2,000×1,400mm(横×縦)とした。 いずれの試験体においても剛体回転挙動が観測されたため,簡単なロッキングメカニズムを仮定し,各試験体の最大耐力を評価した結果,計算結果は実験結果と整合した。 各試験体の等価粘性減衰定数(heq)を比較した結果,既存型試験体は目地モルタルのひび割れ進展に伴い,heqが減少しているのに対し,ピーナッツ型および亜鈴型試験体では,既存型試験体のheqより高く,実験終了時まで減少しなかった。これはメインブロックとキーブロック間の摩擦抵抗によって最後までエネルギーを吸収することができたためであると思われる。 ピーナッツ型および亜鈴型試験体におけるメインブロックの再利用率を調べたところ,両試験体ともに部材角1/20を経験した後も70%以上となり,耐震ブロックは経済面および環境面においても優れていると言える。 本研究で実施した面内載荷実験の結果より,耐震ブロック造壁体は既存型壁体に比べ,変形能力,エネルギー吸収能力および再利用率などで優れることを確認した。来年度は面外方向の振動台実験を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的である,途上国の震災軽減に向けた内蔵URM壁の耐震性能評価手法および耐震補強手法の実用化を実現させるため,最も重要である耐震ブロックの形状を決定し,また面内載荷実験も終わっており,2020年度は面外振動台実験を予定しており,当初の計画とおり研究が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は,面外方向への振動台実験を行う計画である。この結果より,本研究で提案したピーナッツ型耐震ブロックの面内方向のみならず面外方向の耐震性能が証明されることとなる。また,これらの実験結果を有限要素法を用い詳細に再現し,実験で実施できなかった様々な壁体のプロポーションについて解析的に明らかにする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は予算が少し残っているが,無理に使うより来年度に合わせて使った方がよいと判断した. 来年度は,物品費で20万円(解析用パソコン購入),旅費で30万円(国内旅費:5万円×2回,海外旅費:20万円),その他28万円程度(実験用消耗品および実験経費)を予定している.
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