研究課題/領域番号 |
18K04428
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
平井 敬 名古屋大学, 環境学研究科, 助教 (00708373)
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研究分担者 |
高橋 広人 (高橋広人) 名城大学, 理工学部, 准教授 (00650821)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 地下構造 / 交通振動 / 地震波干渉法 |
研究実績の概要 |
本研究課題では、低コストで汎用性の高い地盤探査手法である常時微動計測を行うにあたり、通常はノイズ成分として扱われることの多い交通振動(鉄道・道路交通)を積極的に信号源として利用する方法を確立することを目指している。平成30年度の研究実績としては、まず現象の確認と情報収集から始め、名古屋市千種区にある名古屋大学東山キャンパスをフィールドとして調査を行った。この場所は、幹線道路と地下鉄が敷地を横切っており、交通振動源をふんだんに利用することが可能であるためである。常時微動計を用いて道路交通および地下鉄の列車走行にともなう振動を計測し、近年微動探査において採用実績が増えつつある地震波干渉法を用いて、列車走行振動をもとに擬似加振記録を作成することに成功した。また、計算機シミュレーションにより交通振動を模擬した常時微動を生成し、従来の微動探査手法で用いられてきたSPAC法やCCA法による分散曲線の推定性能についての検討を行った。これらの結果は、日本建築学会大会2018年大会において発表している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題は、平成30年度から令和2年度までの3か年の計画となっている。平成30年度は、まず現象の確認と情報収集から始めることとしていた。すなわち、既往の研究や常時微動データの分析手法の調査、名古屋大学東山キャンパスでの交通振動の計測と地震波干渉法を用いた分析、計算機上でのシミュレーションによる地下構造と常時微動の特性の比較などである。これらの結果を受けて、令和元年度には各種交通振動の計測や、必要に応じて車両走行実験などを行うこととしている。さらに、令和2年度には各種交通振動の計測結果を用いて地下構造の推定を行う予定である。平成30年度は、名古屋大学東山キャンパスでの道路交通および地下鉄の列車走行に起因する交通振動を計測し、地震波干渉法により擬似加振記録を作成した。また、計算機上での常時微動シミュレーションを行った。これらの成果により、令和元年度に計画している検討事項に着手する準備がととのったものと考え、進捗状況として「おおむね順調に進展している」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度には、名古屋大学東山キャンパスでの交通振動の計測と分析ならびに計算機上での常時微動シミュレーションを行った。令和元年度には、まず、引き続きこれらの結果の分析を継続して行う。特に、地下鉄の列車走行による振動をもとに擬似加振記録を作成することに成功したが、列車走行中以外の振動、すなわち道路交通振動をもととして擬似加振記録を作成することも可能であると考えられる。これについては、令和元年度の検討事項とする。また、道路交通・高架の鉄道・地表の鉄道などによる交通振動を計測し、地震波干渉法に基づく分析により擬似加振記録を作成することを考える。さらに、計算機上での常時微動シミュレーションについても、平成30年度に引き続いて検討を進める。これらの予備検討の結果を総合して、令和2年度には実際に交通振動の計測と地震波干渉法に基づく解析方法による地下構造推定の手順を構築することを目指す。また、円形微動アレイなど他手法による推定結果と比較検討することを考える。
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