研究課題/領域番号 |
18K04439
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研究機関 | 足利大学 |
研究代表者 |
仁田 佳宏 足利大学, 工学部, 教授 (10318834)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 自己位置推定 / 無人搬送車 / ロボット / 建築現場 / 省人化 |
研究実績の概要 |
本研究は、自己位置推定と環境地図の作成を行う自己位置推定技術(SLAM)を活用したナビゲーションシステム及び無人搬送車の実用化を目的として、行っている。 二年目となる本年度は、初年度の検討結果を基に、慣性計測装置(IMU)の使用の検討およびより正確な2次元および3次元の環境地図の作成に取り組んでいる。慣性計測装置(IMU)の使用の検討より、IMUを用いることで、オドメトリを適用しなくても、無人搬送車の姿勢や走行状態を推定でき、環境地図の精度を向上できることを確認している。正確な2次元および3次元の環境地図の作成の検討として、まずSLAMで作成した2次元の環境地図と測量結果を基にしたCADデータとの比較を行っている。比較結果から、IMUを用いると、無人搬送車の動きを把握できるため、構造物屋内の概形を把握しやすくなることを確認している。また、柱や戸口といった細部はほぼ正確に把握できるものの、特徴点の少ない廊下などについては、長さを正確に把握することが難しいことも明らかとなっている。次に3次元の環境地図については、Structure from Motion(SfM)技術ではなくVisual SLAMを用いたほうが容易に作成できることを確認している。また、IMUやオドメトリを活用可能なため、SfMによるものより、Visual SLAMによるものの方がより正確に作成できる可能性があることも確認している。 本年度の成果の一部は、第62回自動制御連合会で既に発表しており、また2020年度日本建築学会学術講演会でも発表予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2年目となる本年度は、建設現場に適した無人搬送車の開発、GPSやGNSSの使用が難しく、路面状況も場所により大きく異なる建築現場に適した環境地図の作成方法の開発を主な目的として、主にSLAMによる環境地図と実測量に基づくCADデータの比較を行った。比較検討結果から、慣性計測装置(IMU)を用いることで、無人搬送車の姿勢や走行状態を推定できることから、環境地図の精度をより向上できることを確認した。また、Visual SLAMを用いることで、3次元の環境地図についてもより簡便に作成できる可能性があることを確認している。また、マーカーの粉じん対策として、SLAMにより作成した環境地図を活用したナビゲーションとの併用の検討も進めている。以上のように、本年度は、CADデータとの比較検討を通じて、より正確な2次元および3次元の環境地図を作成するための方法について検討し成果が得られていることと、マーカーによるナビゲーションの改良として、SLAMによるナビゲーションとの併用の検討も行えたことから、本年度の計画の主要となる部分は達成している。しかし、建設現場での適用を考慮した、ロボットアームなどを搭載した無人搬送台車の開発検討が進んでいない点とPythonによるプログラムを組み入れた環境地図とCADもしくはBIMの図面をリアルタイムで比較できるシステムの開発が進んでいない点を考慮して、(3)やや遅れていると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、まずこれまでに達成できていない点を中心に研究を進め、建築現場に適した無人搬送車の開発及び開発した無人搬送車のためのシステムの構築を目的に行う。ソフト面では、ナビゲーションシステムの改良を目的に、Robot Operating System(ROS)に組み込むことを前提として、環境地図とCADもしくはBIMの図面を比較できるPythonによるシステムの開発を行う。また、正確な3次元の環境地図の作成を目的として、LiDARの利用によるオドメトリ情報を活かしたVisual SLAMによる環境地図の構築についても検討を行う。環境地図の作成においては、開発したマーカーを用いたナビゲーションシステムにより無人搬送台車を自律移動させることとする。またVisual SLAMによる3次元の環境地図の結果は、写真測量を基にしたStructure from Motion(SfM)による3次元の環境地図と比較し、精度、作成の簡便さについても検討を行う。ハード面としては、建設現場に適した無人搬送車の開発として、資材を複数の無人搬送車が協調して 運搬可能な台車への改良および拡張、作業員との協調を考慮して、ロボットアームなどを搭載した無人搬送車の開発を計画している。また、これまでの研究成果を基に、建築現場に適した無人搬送車の実用化についても検討を行う。実用化の検討を行うのに際し、様々な技術者に協力を仰ぎ、多くの意見を集め、より実用的な無人搬送車となるよう、実証実験を行う。実証実験に際しては、福島ロボットテストフィールドやさがみロボット 特区プレ実証フィールドなどに代表されるロボット実証実験のための施設や実際の建築・土木の建設現場などで実験を行うことを模索する
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