研究実績の概要 |
引張ブレース補剛されたEP曲面形状の格子シェルに対して、ブレースにプレストレスを導入した場合とブレストレスを導入しない場合の座屈耐力の比較を行った。ブレストレスの大きさをパラメータとし、0, 23.5, 47, 78.3, 156.6 N/mmのプレストレスを与えた5種類のモデルで解析を行った。プレストレスの弛緩を考慮し、さらに格子材、ブレース材の材料降伏を考慮した弾塑性座屈解析と、材料降伏を考慮しない弾性座屈解析をの2通りについて解析を行った。また外力分布は、等分布荷重と、2種類の偏在荷重とし、偏在率もパラメータとして3通りの解析を行った。これら多くの数値解析結果を用いてブレースのプレストレス有無による格子シェルの座屈耐力の違いを詳細に分析した。その結果、プレストレスを導入することで最も座屈耐力が高かったモデルに対し、プレストレスを導入しなかった場合の座屈耐力は7割程度の耐力であり、プレストレスを導入しなくても比較的高い座屈耐力を持つことを明らかにすることができた。 引張ブレース補剛された格子シェルの模型実験を行った。プレストレスを導入した試験体とプレストレスを導入しない試験体の2体についてそれぞれ加力実験を行い、両者の座屈挙動の比較を行った。その結果、両者の座屈耐力はほぼ同じであり、プレストレスの有無による挙動の違いは殆どないことを実験と数値解析により明らかにすることができた。ブレースの張力を測定する方法など実験方法を幾つか改善し、また数値解析についても格子部材の自重や初期不整を考慮するなど昨年度よりも詳細な分析を行った。
|